【80年ぶり】恒星の爆発で"新生命"は生まれるか 星の世界にある「命のバトンリレー」とは?
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 9時0分
大爆発による恒星の死には、「3つの役割」があります。
1つ目の役割は、「星のなかでつくられた元素を宇宙にばらまく」こと。このおかげで宇宙に炭素や酸素が行き渡ります。
2つ目の役割は、「爆発によって新しい元素をつくる」こと。中性子星と同じように、鉄より重い元素をつくり出します。
ガスを集めて星になり、新しい元素をつくっては死に際にばらまく……。恒星は元素を生み出すために生きる使命を持っているのかもしれません。
星が死ぬことで、新たな星が生まれる
3つ目の役割は、「爆発の衝撃がまわりに広がり、新たな星が生まれるきっかけになる」ということ。
ガスが漂っているところに衝撃波が到達すると、ガスがギュッと集められ、「赤ちゃんの星」になることがあります。
花を咲かせて種を落とし、またどこかで花が咲くというような「命のバトンリレー」が、星の世界にもあるのです。
【星の死(超新星爆発)の3つの役割】
1 星のなかでつくられた元素を宇宙にばらまく
2 爆発によって新しい元素をつくる
3 爆発の衝撃が新しい星を生むきっかけになる
私たちが住む地球が属する太陽系も、星の生と死によってつくられた元素を集めて生まれてきました。隕石の研究から、太陽系誕生の前には少なくとも2回の超新星爆発が起きたことがわかっています。
前の世代の恒星がせっせと元素をつくってくれていたおかげで、いまの太陽系があるということです。
星の死とは違った爆発もあります。こちらも、私たちと大きく関係のある現象です。
今年の8月、星が爆発して「新星」が見られるかもしれないとニュースになりました。
「かんむり座T星」という恒星で、過去1866年と1946年に爆発を起こしています。ふだんは肉眼では見えませんが、爆発が起こると、都会でも見られる明るさになると期待されています。
約80年ぶりの天体ショーが見られると注目されてから、なかなか爆発は起きていませんが、まだこの10月に見られるチャンスは残されています。
夜空の何もなかったところに突然星が輝き始める現象を「新星」といいます。その中でも、ひときわ明るいものを「超新星」といいます。
名前は似ていますが、起きている出来事は異なります。
星の表面の爆発か、星全体の爆発か
超新星は、「恒星全体が爆発」する現象です。さきほど説明した、太陽よりも重たい恒星が死ぬときに起きる超新星爆発が、その一例です。
新星は、「恒星の表面が爆発」する現象です。爆発を起こすのは、白色矮星です。白色矮星の近くに別の恒星があり、その恒星から白色矮星に向けてガスが降り注いでいる場合、突然、ボカンと爆発を起こすことがあるのです。
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