ゼネコン「けんせつ探検隊」がひっそりと蒔いた種 親子参加の体験会で「今の建設現場」を伝える
東洋経済オンライン / 2024年10月13日 8時0分
けんせつ探検隊の恒例企画「お仕事体験」(実際の建設作業を体験できる)は、冒頭で記述した墨出し作業。ビルなど建物をつくる際の縦、横、高さの物差しになるため、職人技が求められる。親子はときおり線が歪む失敗をしながらも、正確にチョークラインを引いていった。
墨出しを終えた都内出身の中間千聖さん(12歳)は、「線を引くやつは楽しかった」と満足げ。寺田想介さん(7歳)は「墨出しは難しそうに見えたけど、なんとかできた。またイベントに参加したい」と語った。
同じく7月には、「国府台公園野球場」(千葉県市川市)の整備工事において、けんせつ探検隊が実施された。子どもは小学2年生から中学3年生まで12名、親子合計で24名が参加した。工事を手がけるのは、北陸を創業地とする名門の佐藤工業だ。
同野球場は1950年(昭和25年)のオープンで老朽化していたため、取り壊して新しい野球場を建設する。2025年3月の完成を目指している。
近隣に配慮し、ネットの高さは35メートルとした。全面に人工芝を貼っており、千葉ロッテマリーンズの二軍の試合が開催される予定だ。「工事が完成して施設が開業すれば、もう一度見に来たい」。野球が好きだという島根義和さん(8歳)は、目を輝かせた。
ここでのお仕事体験は、高所作業車に乗ること。クレーンの台車に乗り込んだ親子は、照明やネットと同じ高さの35メートルまで昇った。
「クレーンには初めて乗った。上から見ると工事現場は広いな、と思った」。そう話す田中陽彩さん(9歳)は、「モノをつくるのが好きなので建設の現場に興味があった」という。
「もう1回乗りたい」(坂優也さん、9歳)、「楽しかった。スカイツリーが見えた」(前出の島根さん)。ほとんどの参加者が高所作業車の体験に胸を躍らせた。
日建連がけんせつ探検隊を始めるようになったのは、国土交通省の建設業課から女子の小・中学生を対象とした現場見学会開催の協力要請があったためだ。
折しも、建設業における女性活躍推進について、官民一体となってさまざまな展開をしているところだったこともあり、日建連はこれに賛同。「けんせつ小町活躍現場見学会」としてスタートした。
コロナ渦でいったん中止となったが、2022年度に再開した際に「女の子だけでなく、男の子も参加対象とし、女性が主体に活躍する現場だけでなく幅広く展開することとした」(日建連の中井常務)。それに伴って、けんせつ探検隊に名称を変更した。
「建設現場はきれい」と保護者
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