総選挙「絶対に避けられない」2つの厳しい議論 裏金問題のほかに、経済政策は深い議論必要だ
東洋経済オンライン / 2024年10月13日 11時0分
今回の総選挙においては、政治資金問題が最大の争点となるだろう。それ以外に、経済問題について、とりわけ、増税と年金改革についての論議が必要だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第131回。
政治資金問題が最大の争点
今回の総選挙の最大の争点は、政治資金問題、つまり、「政治と金の問題」になるだろう。これは、もちろん重要な問題だ。そして、この問題の処理がうやむやのままになっていることについて、国民の不満は大きい。
裁判で有罪とされたのは、事務局の責任者だけであり、肝心要の政治家の責任は追及されていない。さらに、現在の制度をどう改革するかについても、何も具体的な青写真が提示されていない。
とりわけ問題なのは、この問題は、単に政治資金の流れの透明化というだけのものではないことだ。その基本には、政治資金に対する課税をどうすべきかという問題がある。
現在のような広範囲な非課税扱いが正当化できるとは、到底思えない。それにもかかわらず、これについて、何の議論もなく、改革案も出されていない。
あまりに大きな問題であるために、議論も改革もできないのだろう。しかし、それが許容されるわけではない。政治資金課税の問題が、総選挙で論議されることを望みたい。
現在、日本が直面している問題は、外交問題、格差や差別の解消、防災や被災地支援、子育て支援、教育問題など、山積みだ。そして、経済問題についても、重要な争点が多々ある。 本稿では、これらの問題のうち、経済問題に絞って論じることとしたい。
経済問題の範疇においても、金融政策、増税問題、社会保障制度の改革、長期的な成長戦略など、さまざまな論点・争点がある。
今回の選挙は準備期間が短いこともあり、これらの問題について、本格的な論戦をどれだけ行なえるかは疑問なしとしないが、限られた時間の中で、できる限りの議論が行われることを望みたい。
異次元金融緩和からの脱却
金融政策に関しては、アベノミクスにおける大規模金融緩和からの脱却をいかに行うかが問題だ。金融正常化という方向付け自体は規定路線となっているが、それをどのようなスピードで、どの程度まで進めるかという問題がある。
本来、金融政策は日本銀行が決定し実行する問題であり、中央銀行独立性の原則から、それに対して政治や行政が介入するのは望ましくないと考えられている。ただし、金融政策が経済活動の全般にわたって広く大きな影響を与えることから、選挙における論点とすることは問題ではない。むしろ必要とされることだろう。
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