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炎上した「移住婚」宇都宮には女性が殺到したワケ 女性の流出が止まらぬ地方自治体に残された課題

東洋経済オンライン / 2024年10月13日 10時0分

しかし「おや?」っと思うことも多かったそうです。

「あの家は娘が出戻りなんだ」「あの人はいい年してまだ独身」「近所の〇〇さんはお母さんが病気しがちで体が弱いんだ」などと他人の噂話が多かったといいます。彼らには他人のプライバシーに対する意識が高くないようなのです。

数日滞在して、これは博史さん個人の性格というよりも、そのコミュニティの文化や習慣の影響が大きいと気が付きました。

おまけに、「結婚したら子どもを産んでほしい。生活費は渡すから家のことは全部やってほしい」と、結花さんの気持ちや都合を無視した一方的な希望を聞かされたのです。

「30年前ぐらいの感覚で止まっているような意見に、今後、価値観の違いを乗り越えられるとは思えませんでした」(結花さん)

彼とはそれ以上、距離を縮めるのをやめました。

結花さんはその後、東京都出身で都内の会社に就職し、転勤で北関東の都市に住んでいる啓太さんとマッチングします。

啓太さんとは東京やお互いの中間地点でデートを重ね、半年後に入籍しました。博史さんに感じたような、結婚生活の障害になりそうな文化や習慣の違いを感じることはなかったそうです。

啓太さんも子どもを希望していたそうですが、ただ「産んでくれ」ではなく、「自分も育休を取得するし、出産にかかる費用も出すから子どもが欲しい」と、話し合う場を作ってくれました。

60万円で移住婚したい女性はいない

もちろん、地方の人だから古い価値観だったり、都会人だから女性に寄り添った考えを持っていたりするとは限りません。地方でも女性を尊重してくれる方はもちろんいるでしょう。

問題なのは、結婚を伴わなくても、安易な移住は失敗することが多いということ。目先の60万円だけで女性を釣るような方法で地方移住を推奨しても、はたしてうまくいくのか疑問です。大事なのは、結婚することよりも、その後の生活だからです。

結花さんも、前出の荒木さんも、「60万円目的で移住婚する女性はいない」と断言していました。

私もその点は共感します。そもそも60万円では、移住先への引っ越し代や新居を整える費用にもならないのではないでしょうか。

結花さんは現在、お子さんも生まれ、東京郊外で暮らしています。結婚と出産には60万円以上かかったそうです。

都会に住む女性でも、相手の居住地に強いこだわりはなく、広域でパートナーを探す方はいらっしゃいます。ですが、あえて移住婚をしたいという女性はほとんどいません。女性側に、相手に合わせて変わることを要求するのが移住婚だとしたら、制度があっても活用する人はほとんどいないのではないでしょうか。

地方では、故郷を離れる若者が男性よりも女性のほうが多いという事実。地方からなぜ女性が流出してしまうのか、その原因から目を背けるのではなく、抱える課題を突き詰めて変えていかないと、女性が集まるどころかさらなる流出を生んでしまうでしょう。

菊乃:恋愛・婚活コンサルタント

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