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「巨大サバが釣れまくる」ノルウェーと日本の差 沖合で小さなサバまで一網打尽にする日本

東洋経済オンライン / 2024年10月13日 9時30分

ちなみに「巻き網もの」と聞くと「釣りもの」より品質が劣るというイメージが一般的かと思います。ところが意外かもしれませんが、ノルウェーではサバの価格が「巻き網」のほうが「釣り」より高いのです。その違いは「品質」です。マグロと異なり、巻き網で網を狭めていく過程で魚が苦しがって打ち身になっていくということはありません。

獲りすぎてタンクの中の魚が多くなり、サバが冷えていなければ品質評価が落ちて価格が下がってしまいます。また大量に水揚げすると価格の下落を招きやすいということもあります。そこで2000トン前後の魚を一度に獲って運べる巻き網漁船であっても、500トン前後以下に一回の水揚げ量を抑えることがほとんどです。

水産業を成長産業にしているノルウェーでは設備投資が毎年進んでいます。今ではサバの処理能力は1時間に50トン程度が普通です。凍結能力は一日で1000トンを超える、日本とは比較にならない規模の巨大な冷凍工場がいくつもあります。そこで数百キロから数トン単位で水揚げされる釣りサバでは、生産効率が悪くなってしまうのです。

また、さまざまな漁船が漁獲した釣りサバをまとめて生産すると、品質のばらつきがあって管理が難しくなってしまいます。かえって一度に数百トン水揚げされる巻き網もののほうが、品質は安定しているのです。

日本でも大きなサバが釣れるようになる方法はあります。釣れるサバが小さかったり、釣れなくなったりしたのは、資源管理の仕方に問題があるからです。ですからそれを変えればよいのです。

しかし簡単に思えることでも、社会の資源管理に対する「正しい理解が進んでいない」という大きな障害があります。このため、本当のことを言うには「勇気」がいるという、おかしなことになってしまっています。

そして本来するべき「科学的根拠に基づく資源管理」と逆のことが行われ、その結果、日本近海の魚が次々に消えてしまっているのです。

魚を食べ続けるために必要な4つのポイント

結果が出ているノルウェーの資源管理を基にして解説すると、以下の4点が必要です。すべて日本では逆です。このため、良くならないどころか、魚が減り続け、漁業間(沿岸漁業と巻き網・底曳きなど)の関係が悪くなっています。

そして消費者には、小さくて高い魚が提供されるようになってしまいます。このままでは、確実に悪化が進んでいきます。その傾向が随所に出ているのは、生活の中ですでにお気づきのはずです。

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