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「巨大サバが釣れまくる」ノルウェーと日本の差 沖合で小さなサバまで一網打尽にする日本

東洋経済オンライン / 2024年10月13日 9時30分

① 科学的根拠に基づく漁獲枠の設定と漁業(巻き網・定置他)ごと、漁船ごとに漁獲枠を設ける。

ノルウェーでは獲り切れない量の「サバの漁獲枠」を設定することはありえません。毎年消化率はほぼ100%です。わが国で行われている漁獲枠がターゲットのようになってしまう漁業には未来はありません。唯一クロマグロが回復傾向にあるのは、外圧により漁獲枠がタイトになったからです。

魚で自主的な管理で結果を出すことはまずできません。全体から見れば極ごく例外的なケースがあったとしても、それを大きく見せるのは誤解を生じます。必ず獲りすぎてしまい、その結果は日本中で見られます。

魚が減れば広範囲に操業できる大型の巻き網漁船のほうが有利です。しかしながら、結局は獲りすぎてしまい、漁業関係者が自分で自分の首を絞めてしまいます。

筆者の記事に「漁業者が悪い」とコメントされることがあります。自分が漁業者であったらどうだろうかと考えていただくとわかります。魚を獲ることが漁業者の仕事です。魚をたくさん獲りたいと考えるのはごく当たり前です。漁業者が悪いのではなく、獲りすぎになってしまう制度が悪いのです。

サバの半分近くは養殖などのエサに使われている

② 3歳未満のサバの漁獲を禁止する。混じっても数%という厳しい制限を付ける。

産卵できる大きさに成長する前に漁獲する「成長乱獲」を止めること。0~1歳の「ローソクサバ」をはじめ、サバの幼魚を大量に漁獲している漁業に未来はありません。

③ サバは食用で99%になるようにする。養殖マグロのエサ用枠は別途設ける。

ノルウェーでは漁獲の99%が食用です。日本では、養殖を主体としたエサに使用する比率が52%(2023年32漁港)となっています。実にもったいないことをしています。エサの比率が増えているのは、食用になる大きさになっていないためです。

幼魚の乱獲が進むことで資源はさらに悪化していきます。養殖マグロのエサには、サバ以外を使ったり、残渣を使ったりすること。サバを使う場合はエサ用の枠を設けること。マグロも大事ですが、資源が少ないのに小サバをエサ用にたくさん獲ってしまっている問題に気づくべきです。

もちろん、小サバを獲っても問題ないだけの十分な資源があり、資源が持続的になる仕組みになっていれば問題はありません。ただそれは、資源管理が機能する前提の遠い先の話です。

④ 漁獲枠の配分は資源が少ない時期は、沿岸漁業に優先配分する。

沿岸漁業を優先することは国連海洋法やSDGs14でも当たり前のことです。ノルウェーのように沿岸漁業に優しい漁業を目指すことが必要です。

「日本とは違うので参考にならない」のウソ

ノルウェーの漁業を知らずに「日本とは違うので参考にならない」といったコメントをネットなどで散見することがあります。ノルウェーの関係者が読むと、いったいどこの国のことか?となります。先入観や偏見で言うのはよくありません。

違うのは資源管理であって、沿岸漁業の漁船が圧倒的に多いといった構造は同じです。自国海域で資源管理が完結しているわけではなく、外国とは90%以上の資源を共有しています。また巻き網漁業に大手は存在しません。

大事なことは世界に目を向けて、もっと広い視点から世界の成功例を取り入れていくことではないでしょうか。

片野 歩:Fisk Japan CEO

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