漫画の進化系「ウェブトゥーン」市場を席巻する訳 スマホ時代に適応した"新しい形式"として注目
東洋経済オンライン / 2024年10月14日 11時0分
この頃には、個人のほかにも小さなスタジオなど、なかなか把握が難しい小規模事業者が多数参入しているため、現在はそれ以上のかなりの数が参入していると思われます。
作品傾向としては、韓国で一般的な小説原作の作品のほか、完全オリジナルや、既存の横読み漫画を縦スクロール化するケースも見られます。
また、日本の大手出版社も続々とウェブトゥーン市場に参入しています。その中でも同様に、完全オリジナル、小説原作、既存作品の縦化などさまざまなパターンが生まれています。
また、ウェブトゥーンはスマホに特化された形式ではありますが、レイアウトし直して、紙の単行本として発売されるケースも増えてきています。『氷の城壁』(阿賀沢紅茶/集英社)、『俺だけレベルアップな件』(DUBU、Chugong/KADOKAWA)など、いくつかの作品で国内でも結果が出始めました。
欧米、アジアなどでは、ウェブトゥーンのマネタイズ手段のひとつとして、多くの出版社がウェブトゥーン原作の紙単行本化を行っています。特に北米では、DC/マーベルといった強力なIPを持つ出版社が、ウェブトゥーン形式で新作を連載し無料でファンを育て、それを紙単行本で販売してマネタイズするモデルを増やしています。
クリエイターの動向としては、スタジオ制作の増加により、さまざまな分野からの人材が参入しています。漫画家はもちろん、原作・脚本には小説家やゲームシナリオライターが、作画や仕上げにはイラストレーターやアシスタント経験者が携わるケースが増えています。
制作ツールに関しては、「CLIPSTUDIOPAINT」がウェブトゥーン用のプリセットを提供しており、海外でも一般的に使われているようです。
現在の日本ウェブトゥーン業界としては、2024年現在スマッシュヒットと呼べるヒット作品が複数出始めました。
そのなかでも、ナンバーナイン社がLINEマンガ上で連載した『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜』(江藤俊司、疾狼、3rdIve/Studio No.9)は、2024年1月には月間売り上げで1.2億円を超え、6月には英語版に翻訳されて海外展開するなど、今後の成長を期待されています。
2024年5月には、集英社のジャンプTOONもアプリローンチと同時に作品公開を開始。国産の大ヒット作品の不在が課題とされていた日本ウェブトゥーン勢も、今後の伸長が期待されます。
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