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「2024年問題」ドライバー不足を救う驚きの仕組み フィジカルインターネットは物流危機を解決するか

東洋経済オンライン / 2024年10月14日 9時0分

「MFLP-LOGIFRONT東京板橋」の目の前には新河岸川が流れており、荒川にもつながっている。現時点では河川の上空をドローンが飛行する許可は得られていないが、国はドローン物流の飛行ルートとして河川上空を活用する構想を打ち出している。将来的には河川沿いにドローンポートが設置され、物流施設はドローン物流の「結節点」の機能も果たすことになるだろう。

ちなみに、2024年4月に三井不動産が中心になって開発されることになった東京・中央区の「築地地区まちづくり事業」でもドローンタクシーのポートを設置する計画だが、この事業にはトヨタ不動産が事業者として参画している。トヨタグループでは、ドローンポートの開発にかなり力を入れているようだ。

標準化が苦手な日本はどうしていくのか

今年9月に東京ビッグサイトで開催された「国際物流総合展2024」の会場で、筆者はフィジカルインターネット(PI)の将来性について出展者に意見を聞いて回った。2年前に取材した時にはPIについて質問しても「知らない」と答える関係者がほとんどだったが、物流業界にもかなり浸透してきた印象だった。

一般社団法人フィジカルインターネットセンター(JPIC)では、今年4月に成立した改正流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法で一定規模以上の特定荷主に「物流統括管理者=CLO(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)」の設置も義務付けられたことを受けて、9月にCLO協議会を設置。企業間連携の活性化に取り組むとともに、10月にはフィジカルインターネット研究会を設立し、PIの具現化のための高度物流人材の育成にも力を入れ始めた。

では、日本でPIがどのように普及していくのか――。デジタル化を進めるうえで、欧州は“標準化”を進めながら普及を図るのに対し、アメリカは使いやすいサービスが普及してGAFAMのように巨大企業が市場を占有してきた。ある物流ベンチャー役員は「日本は標準化が苦手なので、欧州のようにPIの標準化を進めるのは難しいのではないか」と見る。

別の物流ベンチャー社長は「荷主が異なる貨物を混載して運んできたヤマト運輸や西濃運輸などの大手企業がデジタル化を進めてPIサービスを提供するようになるのではないか」と予想する。

「これまで幹線物流を担ってきた日本通運などの大手は協力事業者を含めて輸送体制がしっかりしているので現状でもあまり困っていない。PIの普及で物流業界の重層下請け構造の改善を図るのは難しいのではないか」とみるシンクタンクの専門家もいる。現時点では、PIサービスの本格普及に向けたシナリオはまだ見通せていない段階なのだろう。

「“割り勘負け”しないルールをつくる」

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