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デジタルメディアは発達障害の原因になるのか 「デジタルがいい悪い」議論より重要なことは?

東洋経済オンライン / 2024年10月15日 19時0分

つまり、大人が新しいものを受け入れないことによって出てくる弊害の方がおそらく大きいと思います。もちろんこれは、戦略もなく好きなことを好きなだけやらせること(いわゆる野放し)を推奨しているわけではありません。

ゲームについては、ADHD(注意欠如・多動性障害)の子どもがハマりやすく抜けにくいという特徴はあるかもしれません。ただしこれはゲームに限った話ではありません。ADHDの特性として、手を伸ばしやすいご褒美(的なもの)にハマりやすくて抜けにくい、という報告はあっても、ゲーム自体が障害を引き起こす(発達障害特性のもととなる)という話ではありません。

勉強でも、ゲームでも、頭が疲れます。ゲームをしたあと、ほかの活動に注意を持続することが難しい様子を周りの大人が見てゲームが悪さをしていると判断している可能性はあります。しかし、「ゲームが発達障害の原因」というのは因果関係がおかしい言い方です。

とある教育委員会の研究は、「スマートフォンの長時間使用が子どもたちの学力に悪影響を及ぼす可能性」を示唆しました。簡単に内容を要約すると、スマートフォンを一日3時間以上使用する子どもたちは(そうでない子と)同じ勉強時間であっても成績が低下する傾向にある、とのことです。

調査結果はスマートフォンの使用(という環境要因の1つ)が子どもたちの学習や認知発達に与える影響を検証したのであって、調査を実施した先生もスマートフォンの使用が学習や認知に影響を及ぼすことを示唆しているものの、「直接的に発達障害を引き起こす」とは述べていません。こういったデータが曲解されて独り歩きした結果、デジタルメディアを悪と考える風潮が広まっているのではないでしょうか。

デジタルメディアは子どものことばを壊すの?

デジタルメディアが悪とされがちなのは、子ども(や親)がそれにハマることで、コミュニケーションの時間を奪われたり、あるいはネットで触れた「悪いことば」を子どもが覚えてしまったり、本を読むなどの語彙を増やす活動が減ったり……といった不安が背景にあるのではないでしょうか。

端的に言うなら、「デジタルメディアがことばやコミュニケーションを壊す」という不安でしょう。

この不安は、半分合っていて、半分は合っていません。結局、デジタルメディアそのものが悪いのではなくて、課題になるのは子どもと保護者がそれにどのように関わるか、つまり関わり方に尽きると思います。

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