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"タワマン配達"の困惑ルール「まるでダンジョン」 台車や置き配の禁止にドライバーは悪戦苦闘

東洋経済オンライン / 2024年10月15日 8時0分

目的のエレベーターまで2カ所のロックを解錠し、エレベーターの到着を待つ。ここまで15分かかったが、さらに6分エレベーターを待つ。さらに2カ所のロックを解錠して目的の42階に到着。専用のiPadに荷送人、商品などの必要事項を入力する。

入力した情報は専用プリンターで出力される。バーコードを荷物に貼り、フロントの受付で再度スキャンして配達は完了だ。ここまでかかった時間は30分だった。

荷物1個の配達に30分かかることは、タワマンでは決して珍しいことではない。事前に手順を把握していなければ、配達を完了することさえままならない。厳重なセキュリティは住民の安全を守るためだが、配達員には大きなハードルになっている。クリアが難しいダンジョンのようだ。

ちなみに、こうしたセキュリティの強固さには、ウーバーイーツの配達員も苦戦している。防災センターなどで足止めされ、次の注文をなかなか受けられない。都内の配達員の中には意識的に中央区、江東区など湾岸エリアの注文を避ける配達員も多い。

ドライバーの味方・台車についてのルール
・マンション内で台車の使用禁止
・使用可能な場合も、静音仕様など専用の台車が条件
・エレベーターホールまでは台車を使えるが、廊下は禁止

台車はドライバーにとって、もっとも重要な仕事道具の一つだ。台車を使えば十数個の荷物を一度に運べる。しかし床や壁に傷が付くことや、景観上の理由などで台車を禁止するマンションは少なくない。

物流大手の調査によると、東京23区内に320棟以上のマンションが台車の利用を禁止しているという。各社はルールに従うしかない。ドライバーは手で荷物を運び、行き来する羽目になる。

今年8月には、アマゾンの宅配業者に対して「建物の美観を損なう恐れのある『角バッグ又は籠等』を使っての館内配達は禁止です。損傷の恐れある行為として警察に通報します」といった高級マンションの貼り紙について、SNS上で炎上する騒ぎとなった。

台車と同様、一度に複数の荷物を運べるバッグやカゴも配達員にとっては重要な道具だ。厳しい独自ルールは配達の効率を下げ、配達員を苦しめる可能性が高い。

エレベーターの待ち時間は運次第

配達に立ちはだかる、エレベーターに関連した問題
・住民用エレベーターの使用禁止
・貨物用、業務用エレベーターの混雑
・ペット用エレベーターと貨物エレベーターが併用
・階によってエレベーターが異なり、乗り換える必要がある

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