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"タワマン配達"の困惑ルール「まるでダンジョン」 台車や置き配の禁止にドライバーは悪戦苦闘

東洋経済オンライン / 2024年10月15日 8時0分

ある宅配業者の首脳はタワマン配達に関して「なんとか特別料金をとれないか」と模索しているという。人手も手間もかけているのに、通常の料金では採算が悪化してしまうからだ。

大手業者は各社とも工夫を凝らしている。Amazonは配達する建物の駐車場の場所やメールルームへの行き方をアプリ上で紹介し、注意事項も共有するなど配達員をサポートしている。

ヤマト運輸は役割分担し、チームで配達する例がある。インターホンを鳴らすスタッフと荷物を配達するスタッフを分ける。荷物が多いときは、不在票を書くスタッフもいるなど、チームで配達を行うという。

荷さばき駐車場も利用時間が30分に制限されるなど、1社がいつまでも使えるわけではない。そこでドライバーが荷物を全部下ろし、配達部隊が分担して運ぶ。多いときには一度に届く荷物が300個近くになることもあるという。

佐川急便もマンションによっては専用台車を使うなど、各マンションのルールに対応している。

独自ルールはドライバーに負担

今年4月、政府は「再配達削減PR月間」と称し、主に消費者の意識を変える点を呼びかけた。時間帯指定を活用すること。各事業者が提供するツールを利用すること。コンビニや駅の宅配ロッカー、置き配など、さまざまな受け取り方法を使うことなどだ。

しかし紹介してきたように、マンションのさまざまな独自ルールがドライバーや配達員の負担になっているのも事実だ。

宅配の課題は消費者に密接にかかわる問題だ。マンション住民にとっての快適さも大事だが、そればかりを優先するなら、特別な料金が設定されたり、配達を断られる可能性もゼロではないだろう。宅配業者と協力し、共に妥協点を探っていくことこそ、適切なサービスを受けるために欠かせない点と言えそうだ。

田邉 佳介:東洋経済 記者

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