欧州の新興電池「ノースボルト」、従業員を2割削減 工場建設や量産に手間取り、リストラ不可避に
東洋経済オンライン / 2024年10月15日 18時0分
スウェーデンの新興電池メーカー、ノースボルトの経営が苦境に直面している。同社は9月23日、全従業員の約20%に相当する1600人を削減する計画を発表した。
【写真】ノルウェー政府系ファンドの運用責任者と対談するCATLの曾毓群・董事長
ノースボルトは2016年10月、アメリカのテスラで調達担当の幹部を務めたピーター・カールソン氏が創業。ヨーロッパ発の電池スタートアップとして大きな注目と期待を集め、電池工場の完成前の段階で、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)やBMW、スウェーデンのボルボ・カーなどから大型受注を獲得した。
こうした初期の成功を追い風に、ノースボルトはEV(電気自動車)向け車載電池の年間生産能力を2030年までに150GWh(ギガワット時)に拡大するという野心的な経営目標を掲げた。
正極材料の自社生産を中止
ところが、その後の製品開発、工場建設、量産立ち上げはことごとく難航した。同社の直近の業績は期待値にまったく届いていない。2023年の売上高はわずか1億2800万ドル(約184億円)にとどまり、純損益は11億6700万ドル(約1678億円)の赤字、損失額は2022年の2億8400万ドル(約408億円)から4倍に膨れ上がった。
そんな中、ノースボルトは9月9日に事業計画の見直しを発表。スウェーデンでの電池用正極材料の自社生産を一時停止し、中国メーカーまたは韓国メーカーからの調達に切り替えるとともに、スウェーデン、ドイツ、カナダで計画していた3つの車載電池工場の建設を延期した。今回発表した人員カットも、一連のリストラの一環にほかならない。
ヨーロッパでは、ノースボルト以外の車載電池メーカーも経営難に陥っている。
フランスのオートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)は2024年6月、ドイツとイタリアで進めていた2つの車載電池工場の建設を一時中断すると発表した。同社はヨーロッパ自動車大手のステランティスとフランスのエネルギー大手のトタルエナジーズが2020年に共同設立し、2022年にドイツのメルセデス・ベンツが資本参加していた。
世界の電池業界を見渡すと、有力メーカーの本拠地は中国、韓国、日本など東アジアに集中している。ヨーロッパはなぜ、高品質な電池の量産メーカーを生み出せないのだろうか。
この疑問に関して、9月18日に興味深い動画が公開された。世界最大級の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金の運用責任者を務めるニコライ・タンゲン氏が、中国の車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)の曾毓群・董事長(会長に相当)をゲストに招いたオンライン対談だ。
中国CATLのトップが警鐘
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
中国、海外クリーンテックに1000億ドル超投資 関税回避で=報告書
ロイター / 2024年10月2日 15時2分
-
パナソニックが和歌山で最新型の車載用電池を量産へ
財界オンライン / 2024年9月25日 15時0分
-
ノースボルト、国内で1600人削減 電池増産計画撤回
ロイター / 2024年9月24日 11時19分
-
日本車メーカーに追い風が吹いている…欧州ではじまった「EVバブルの崩壊」を示す"バッテリー工場の異変"
プレジデントオンライン / 2024年9月23日 9時15分
-
中国の電池大手が「発火対策の強化」を訴える事情 韓国のEV火災事故を受け、イメージ低下を警戒
東洋経済オンライン / 2024年9月18日 19時0分
ランキング
-
1「もはや誰も話題にしない」紅白司会の橋本環奈主演「おむすび」は転げ落ちてネズミの穴に"すっとんとん"の状態
プレジデントオンライン / 2024年10月15日 17時15分
-
220歳になって“腹違いの兄”から知らされた両親の秘密…母は「黙っててごめんなさい」と号泣
日刊SPA! / 2024年10月15日 8時52分
-
3ユニクロ、秋冬の最新作「羽織るだけでオシャレなダウン」「冬に重宝する1990円小物」全アイテムから選出した“最高コスパの3アイテム”
日刊SPA! / 2024年10月15日 15時55分
-
4グチには「心理的メリット」あり! 上手に“グチる”コツを心理カウンセラーに聞いてみた
オトナンサー / 2024年10月15日 20時50分
-
550代でナンパをやめられない男性“ラブホでの悲劇”「目を覚ましたら見知らぬ男が」
日刊SPA! / 2024年10月15日 15時52分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください