「日本の観光が危うい」と懸念される2+1要素 観光学者が感じている「観光消滅」へ足音
東洋経済オンライン / 2024年10月15日 11時40分
当連載「高速道路最前線」では、高速道路マニアとして“高速道路の今”をお伝えしている。そのため、筆者のことを高速道路の専門家だと思っている方もいるかもしれないが、実は観光学の研究者だ。
そんな筆者がいま、危惧しているのが「日本の観光が危うい」ということ。
2024年は外国人観光客、すなわちインバウンドの訪問が過去最高になることがほぼ確実になっているし、浅草や鎌倉、京都などの定番だけでなく、青森県の秘湯中の秘湯であるランプしかない温泉宿「青荷温泉」や、四国の秘境、祖谷渓(いやだに)にも大勢のインバウンドが訪れている。
また、高速道路のサービスエリア/パーキングエリアで外国人を見かけるケースも増えているから、「何が危ういのか?」と思う人もいるだろう。
しかし、国内外をあちこち“観光”している筆者からすると、「10年後20年後も観光をし続けられるだろうか?」と感じることが極めて多いのだ。
筆者はこの9月、『観光消滅 観光立国の実像と虚像』という新書を中公新書ラクレから発刊した。余談だが、高速道路最前線が始まるきっかけとなったのは、中公新書ラクレの『高速道路ファン手帳』であったから、何かと縁のある新書レーベルである。
今回は、なぜ『観光消滅』というタイトルの本を書いたのか。高速道路が主体ではないが、高速道路とも深く関わる“観光”について、大きく2つの視点から筆者の危惧を述べたい。
京都の猛暑日、54日間
1つ目は、自然災害や地球温暖化など、自然の脅威が増えていることだ。2024年の日本の夏が、例年にも増して暑かったことに異論をはさむ人はほとんどいないであろう。
気象庁のデータを拾ったところ、インバウンドで賑わう京都では、今年6月から9月までの4カ月間で、最高気温が35度を超える猛暑日が54日もあった。ほぼ2カ月間、35度を超える暑さが続いたのである。
京都の観光地でもっとも人気が高いのは、当然ながらお寺と神社である。お寺なら、本堂や方丈など室内での観光だから、それほど暑くないだろうと思われるかもしれないが、風が通らないうえに冷房設備もない寺院が多いため、参拝中でも汗が噴き出してくるようなところがほとんどだ。
この夏は、あまりの暑さに京都の夏の風物詩である鴨川納涼床のランチ営業が、中止になったところも多かった。
いくら川沿いとはいえ、35度を超す炎天下で食事をするなど、観光客にとっても接客や配膳をする従業員にとっても、生命の危険に直結しかねないからである。
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