党首討論会「和気あいあい」の雰囲気の背景事情 石破首相、野田代表が気遣い合う"仲の良さ"
東洋経済オンライン / 2024年10月15日 10時30分
これに対し、野田氏は8%の消費税の軽減税率に代えて、中低所得者の負担を控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」の導入を主張し、石井氏が「飲食料品の税率が8%から10%になれば国民の痛税感がさらに増す」と批判したが、野田氏は「本当に困っている方に的を絞った対策としては、給付付き税額控除のほうが(軽減税率よりも)正しい」と反論した。
また、財務官僚出身の玉木氏は「いつまでもやるつもりはない」としながらも、「実質賃金が安定的にプラスになるまで消費税を5%に引き下げる」と主張。「消費税8%」を主張する馬場氏は「消費をどんどん刺激して国民にお金を使ってもらうことで、経済を大きくする」と力説した。さらに田村氏は「消費税廃止に向け直ちに5%へ」、山本氏は「直ちに消費税廃止」を提起、ビデオ出演の福島氏は公約の「消費税3年間ゼロ」を掲げ、神谷氏は「消費税の負担増回避」を訴えた。
「裏金問題」めぐり政策活動費廃止などで激しい攻防
その一方で、今回の衆院選で国民が注目する自民巨額裏金事件に端を発した「政治とカネ」の問題については、12日の記者クラブ討論会も踏まえ、翌13日午前のNHK日曜討論で9党首が「国民の信頼回復への対応」で真剣な論議を展開。まず石破氏は「収支報告書に不記載があった問題で12人を非公認とし、多くを比例代表に重複立候補させないという厳しい対応をした。あとは主権者たる国民の判断に従う」と自らの考えを説明し、理解を求めた。
これに対し野田氏は「改革の“大玉”は企業・団体献金を禁止するかどうかで、まったく触れないのでは改革に値しない。また政策活動費については全部の野党が『廃止する』と言っており、廃止の方向で抜本的な政治資金規正法改正をすべきだ」と主張。馬場氏は「自民は『脱税裏金議員隠し』と言えるような対応をしている」、田村氏は「パーティー券購入も含めた企業・団体献金の禁止に踏み込まなければ、根本解決にはならない」と批判した。
また、野田氏からアベノミクスの功罪を問われた石破氏は「コストカット型の経済にしたのは良くなかった。(安倍政権で自民幹事長などを務めた)自分も責任を負わねばならない」と述べたうえで、実質賃金を上げるため、高付加価値型の経済を実現する考えを強調。
さらに、デフレ脱却の判断材料については「傾向として物価が下落しないことが複数月続いていくことは極めて重要で、個人消費が着実に上がっていくことが確認されないと脱却は難しい」との認識を示した。
石破、野田両氏の“仲の良さ”で対決ムード緩和も
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