党首討論会「和気あいあい」の雰囲気の背景事情 石破首相、野田代表が気遣い合う"仲の良さ"
東洋経済オンライン / 2024年10月15日 10時30分
こうして、2日間にわたった党首討論会は幕を閉じ、各党首は13日昼前からそれぞれ「重点選挙区」を中心に街頭演説などで支持を訴えるため、地方遊説に全力投球している。その一方で、記者クラブ主催の党首討論を振り返ると、控室での討論前の打ち合わせでも各党首が笑顔を絶やさず、相手の立場も気遣う場面が目立った。
相次いで控室に到着した各党首は、まず、討論会で最初に掲げる「ボード」にそれぞれ、「日本創生」(石破氏)、「政権交代」(野田氏)、「古い政治を打ち破れ」(馬場氏)、「徹底した政治改革」(石井氏)、「変える」(田村氏)、「若者をつぶすな」(玉木氏)、「失われた30年を取り戻す」(山本氏)と大書した。その際、互いの字を批評し合い、隣席の党首が書いたボードを参考にして書き直す党首もいるなど、和気あいあいの雰囲気が続いた。
その背景には、「『似た者同士』を自認し合う、石破、野田両氏の“仲の良さ”」(政治ジャーナリスト)があるとの見方が多い。確かに、控室でも対決ムードはまったくなく、討論会から退出する際に乗り合わせたエレベーターの中でも、「お互い年寄りだから、体調を崩さないようにしよう」などと労い合っていた。加えて、「他の党首達にも攻撃的な人物が少なく、しかも複数が討論会初登場組だったこともあって、これまでのようなぎすぎすした緊迫感はなかった」(記者クラブ関係者)のが実態だ。
もちろん、そうした各党首も街頭演説などでは「対決姿勢を前面に出す」(政界関係者)のは当然だ。ただ、「悪夢の民主党政権」「あんな人たちには負けられない」などと挑戦的な言辞を連発した故安倍晋三元首相とは対照的に、石破、野田両氏は「言葉の使い方が丁寧で、攻撃相手の立場にも配慮する人物」(政治ジャーナリスト)とみられている。このため「両党首の控え目な性格が自民と立憲民主の対決ムードを緩和させ、結果的に選挙戦の“痛み分け”につながる可能性もある」(選挙アナリスト)との“複眼的”な分析も出始めている。
泉 宏:政治ジャーナリスト
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