社員同士が「友だち」でもある会社の業績が良い訳 職場での充実した人間関係が生産性を左右する
東洋経済オンライン / 2024年10月16日 10時0分
私たちが1週間の半分以上を職場で過ごすことを考えれば、職場が友情の生まれる場所であるのはしごく自然なことだ。1960年代に、有名なアメリカの社会学者ジェイムズ・コールマンは、人が職場以外の友人と社交する割合が組織の規模によって決まることを突き止めた。
従業員が90人から150人の小規模な企業や工場では、従業員は職場に友人がいることが多いが、これより大きな企業では職場以外の人と交流することが多い。
ウォーリック大学の社会学者リン・ぺティンガーはある研究で、小売業で働く若い女性は職場に友人がいることが多いことを発見した。それは彼女たちの職場では普段は会えないような人と懇意になれるからだった。
これらの友人のネットワークは仕事の機会を与えてくれるという意味でも重要なので、仕事上の関係の有無にかかわらず緩いつながりがあった。
年長の労働者は家族への責任もあって職場以外では社会的な関係を持たないかもしれないが、職場の友人関係は親密であることが多く、自分自身やパートナー、子どもたちの人生について互いによく知っていた。
職場に「オフィスパブ」を開設した企業
大手酒造企業のSABミラーに17年以上勤めたサマンサの経験は、職場における友情の持つ力を証明してくれる。
SABミラーは世界中の職場に出会いの場として「オフィスパブ」を開設し、意図的に社交的な環境を整えた。その結果、同僚たちが終業後に自社の製品を求めて(アルコールでもソフトドリンクでもよかった)そこに集った。
つまり、アルコールが入るから社交が活発になるというより、社交する「機会」が大事だということがわかる。オフィスパブは、同僚ならみな歓迎される「村の広場」のような存在なのだ。
SABミラーがABインベブに買収されて数年経っても、職場の友情は生き残った。SABミラーのフェイスブック・グループは今も盛況で、世界各地の交流会も継続して開かれている。SABミラーのネットワーク(納入業者が含まれることも多い)は健在だ。
(翻訳:鍛原多惠子)
トレイシー・カミレッリ:オックスフォード大学研究員
サマンサ・ロッキー:オックスフォード大学研究員
ロビン・ダンバー:オックスフォード大学名誉教授
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