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「夢なんかなくていい」中学生に諭した禅僧の真意 「実現したい自分」は、じつは非常にあいまい

東洋経済オンライン / 2024年10月16日 18時0分

「夢や希望」は、かえって人生の妨げになるかもしれないという(写真:zon/PIXTA)

かつて、中学生に向けて「ためになる話をしてほしい」と頼まれ、「夢や希望なんて持たなくても大丈夫。なんの問題もないから、安心していい」と語った、禅僧の南直哉氏。さらに、夢を叶えることよりも、夢が破れてもしぶとく生きていくことの大切さを説いたところ、子どもたちは明らかに話に食いついてきたといいます。

そんな南氏が考える、「自分らしさ」や「自己実現」の追求にともなう功罪とは、いったいどんなものなのでしょうか。

※本稿は、南氏の著書『新版 禅僧が教える心がラクになる生き方』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

「夢」や「希望」がなくても人は生きていける

以前、ある中学校に講師として招かれました。

司会をしていた教師に、「これから、ためになるお話をしていただけます」と紹介されたので、「そんな話は、私にはできませんが……」と断って、こう切り出しました。

「私は60歳前のおじさんですから、みなさんの気持ちは少しもわかりません。これからする話がためになるかはわからないが、私にも中学生だった時代があります。当時のことを思い出しながら話すので、自分の役に立つと思ったことだけを覚えていてくれれば十分です」

それから話したことをかいつまんで言うと、次のようなものです。

ほかの大人は君たちに夢や希望を持てと言うかもしれない。もちろん、夢や希望どおりに生きられた人間は、けっこうな人生を送れたのだからすばらしい。拍手を送ろう。

しかし、私が今まで生きてわかったことがある。それは、人生では夢が叶わなかったり、希望どおりにいかなかったりすることのほうがずっと多いということだ。現実では、ほとんどの人間は夢破れる。

でも、心配するな。夢が破れても人は生きていくことができる。そのほうがもっと大事なことだ。

その証拠にまわりを見てみるといい。先生や君たちの親が、子どもの頃の夢を叶えて、理想の人生を生きているか? 畑仕事したり、公園のベンチに座ったりしているおじいちゃんやおばあちゃんに、いまさら夢や希望が要ると思うか? そんなものを叶えていなくても、みんな十分元気で生きているだろう

だから、夢や希望なんて持たなくても大丈夫。なんの問題もないから、安心していいのだ。

未来ある中学生に、身もフタもないことを言っていると思うかもしれません。しかし、彼らは明らかに話に食いついてきました。つまり、リアルな話だったのです。

夢や希望を持つことが、必ずしも悪いわけではない

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