新庄監督「6位→2位」若手を伸ばす育成力の本質 大原則「機会は平等に、評価は公正に」を守った
東洋経済オンライン / 2024年10月16日 9時30分
今季、監督として3年目だった北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督。昨シーズンまでは2年連続で最下位だったものの、今季はレギュラーシーズンを2位で終えるまでにチームを大きく成長させた。
もちろん、チームが躍進を見せた原因のすべてが、監督に帰するわけではない。それでも、新庄流のマネジメントについて振り返ることは、組織で仕事を行うビジネスパーソンにとっても有効であるはずだ。
そこで本稿では、新庄監督が行ってきたマネジメントの“すごさ”について、ビジネス・マネジメントのプロとともに振り返りつつ、考察していきたい。
長いプロ野球シーズンが一段落し、残すところポストシーズンのみとなった。その中で、今年もっともプロ野球ファンの注目を集めているのは、ファイターズではないだろうか。
公平な競争、組織ビジョンの徹底がチームをよみがえらせた
新庄監督の采配で目立ったのが、過去の実績などに関係なく、選手全員にチャンスを与える姿勢だろう。
監督就任後に開いた会見で「レギュラーは1人も決まっていないし、争いをどんどんさせたい」と語っていた通り、選手全員を公平に見て評価し、チャンスを与えてきた。
時にはくじ引きでスターティングメンバーを決めるなど、“新庄節”を交えつつ健全な競争を促したことが、今季の躍進の背景にあるのは間違いないだろう。
当たり前だが、こうした姿勢は企業のマネジメントに求められるものである。組織づくりや人材マネジメントに詳しい、経営コンサルタントの横山信弘氏は、次のように話す。
「『機会は平等に、評価は公正に』、というのはマネジメントの大原則だ。若者だから、覚えが悪いから、意欲が低いから――といった区別は絶対にしてはいけない」
その結果、ファイターズは正捕手争いで大きく前進した田宮裕涼に、抑えとして活躍した柳川大晟、さらに現役ドラフトで加入した水谷瞬など若手が大きく台頭。過去2シーズンを振り返っても名前を売り出した若手が目立っている。
「若手の抜擢は、組織の活性化にうってつけだ。ベテランばかりで上が詰まっているような組織は、若手からすれば『どんなに頑張っても出世できない』と見えてしまう。
スポーツはやや特殊な世界だが、ことビジネスの世界では、10~20年といった長い期間をかけて習得するようなスキルはなかなかない。『組織が停滞している』『若手がなかなかやる気を出さない』と悩んでいる多くの企業は、新庄監督の采配を見習うべきだ」(横山氏)
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