松山ケンイチ「フォロワー激減」で見せた"珍戦略" 逆張りの手法で、見事に映画の宣伝につなげている
東洋経済オンライン / 2024年10月17日 9時40分
「松山ケンイチ様の役作りへの追求に感服致しました。従いまして、公式は、松山様のフォローを外したいと思います」とXで投稿し、一時は彼のフォローを解除した。
しかしその半日後には、【訂正とお詫び】をポスト。「先ほど、脳筋な上司から『公式が主演のフォロー外してどうするんだ!最後までフォローし続けて108人の中に残れよ!』と至極当然な指導を受けました」と説明し、再び松山のアカウントをフォローした。
さらに、公式アカウントはこの流れで「我々公式は、最後の1人になるまで松山ケンイチさんのフォローを続け、リポストを続けて参りますので、当アカウントをフォローして頂ければ、松山さんのポストをチェックする事が出来ます!」と宣言。
松山のリクエストに応じてフォローを外したXユーザーが、今度は映画公式アカウントをフォローするという流れを作り出した。
この結果、映画『聖☆おにいさん THE MOVIE』公式アカウントのフォロワー数は、10月12日から10月14日の3日間でおよそ2万急増。現時点では約4万フォロワーに到達している。
フォロワー数が減っても、プロモーションとしては成功
おもしろいのは、この一連のムーブメントがあくまで松山個人の発信によるもので、映画公式からの仕掛けではないことだ。筆者は過去、アニメ映画の宣伝に携わってさまざまなSNSアカウントの運用を見てきたが、今回の出来事はプロモーション(松山の主観はさておき、結果として)として見事な成功事例だと感じる。
通常映画の宣伝であれば、作品の認知度を上げるべく公式SNSの「フォロワー数を増やす」ためにプロモーションを展開する。しかし今回、松山が取った行動はその逆だ。「フォロワー数を減らす」ことで多くのXユーザーを巻き込み、その現象自体をエンタメ化して宣伝に誘導している。キャストが自ら呼びかけるからこそ成立したこの手法は、SNSの定説を逆手に取った斬新さがある。
松山の「フォロワーが減る」事実は一見マイナスに思えるが、実はそこまで痛手ではない、という見方もできる。たとえば、フォロワーが減ってもアカウントに蓄積された「いいね」「リポスト」数は減らないため、その数字はエンゲージメントの評価に加味される。
加えて現在のXには「おすすめ」機能があるため、ユーザーと関連性が高いポストや「いいね」「リポスト」を集めた反響が大きい人気ポストは、フォロー外であってもタイムラインに浮上するのだ。
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