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「元科学者で保育士」夫婦が作る異色保育園の日常 アラフォーで転身、オルタナティブスクールも運営

東洋経済オンライン / 2024年10月18日 11時0分

「高校生までは地元にいましたが、早く東京に出たくてしょうがなかった。2019年に親を頼って横瀬に戻ってきましたが、横瀬は自然がたくさんあって子育てしやすく、もう東京には戻れません。

私の娘も当初は未就学児でこういう自然環境に慣れていませんでしたが、すぐに馴染みました。今は小学4年生になり、まったく病気にもならずに元気に暮らしています。1日中、山に行って遊んだりしているので、体力もかなりついたようです」(春香さん)

一方、繁彦さんも科学者としてのキャリアに限界を感じていた。

「時間に追われて心に余裕がありませんでした。地球科学の研究面で悩んでいたためです。研究テーマはありましたが、5年先も楽しいだろうか?と考えたときに限界があると感じました。

僕の研究は実験装置の性能に依存した分析をしていましたが、新しい装置が出ているときは研究が進むものの、だんだん頭打ちになってくる。これ以上のブレイクスルーは望めないと考え、子育ての傍ら保育園を運営することを考えるようになりました」。

保育園は今「森のようちえん」(認可外保育施設)という名前だが、2025年度からは「タテノイトようちえん」に、ナゼラボは「タテノイト小中学部」にそれぞれ改称して一体的に運営する予定だ。

保育園やナゼラボには自然科学、社会科学、絵本まで多くの蔵書があり、保育園には立派な園庭、ナゼラボには顕微鏡や天体望遠鏡、各種実験器具などが揃うだけに、どちらの施設も使えることは子どもたちにも大きなメリットとなる。午後3時から午後6時までは施設を一般開放し、大人でも自由に入れるようにするという。

「太陽はなぜあるの?」と聞かれたら

ナゼラボで使う顕微鏡や望遠鏡などの器具は昔の研究仲間などから無償で譲り受けている。研究用途で使うには古い装置でも、子どもが使うものとしては十分な性能があるという。

「子どもと実験をやると僕らもとても面白く、子どもたちは本質を突いた質問をズバッと投げかけてくれます。『太陽はなぜあるの?』など、即答できない質問も少なくありません。ですので、僕らもすぐに答えを追わず、あえて子どもたちに考えてもらうことを重視しています」(繁彦さん)。

「子どもが何かに興味を持ったとき、すぐにこちらも対応してあげたいという気持ちが強い。すぐやることで、子どもの好奇心を満たしてあげることが重要です」と春香さんも言う。

舘野夫妻はともに、もともと地球惑星科学の研究者だ。

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