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スマホより軽い!振り切った「VRゴーグル」の勝算 VRChatとビジネス用途の要求を同時に満たす

東洋経済オンライン / 2024年10月18日 11時0分

CADやデジタルツインの分野では、複雑な3Dデータの可視化が主な用途となる。ここでは特に高い解像度が必要とされ、色の正確さも重要だ。小塚氏は「Autodeskとの協業では、ハイエンドモニターレベルの色解像度が求められました」と語る。

さらに、MeganeX superlight 8Kの「跳ね上げ式」機能は、このような3D設計作業において特に有用だ。設計者はVR空間で3Dモデルを確認しながら、必要に応じてディスプレイを跳ね上げてPC画面を見ることができる。VR空間での作業とPC上での作業をスムーズに切り替えることが可能になる。従来のVRヘッドセットでは、VRモードとデスクトップモードの切り替えに手間がかかっていたが、この機能によりワークフローが大幅に改善される可能性がある。

これらの用途に共通するのは、高解像度、優れた色再現性、長時間使用時の快適さだ。しかし、従来のVRヘッドセットでは、これらの要求を同時に満たすことが難しかった。「大きくて重いゴーグルは、性能は高いものの長時間の使用には適していません」と小塚氏は指摘する。

さらに、MeganeX superlight 8Kはビジネスユースを想定して、オペラグラスのような使い方も可能としている。本体下部にカメラ用一脚を取り付けられるアダプターを装備しており、VRヘッドセットを手で持って覗き込むように使用できる。この機能により、従来のヘッドマウント型デバイスでは難しかった「ちょっと覗く」ような使用が可能になる。展示会でのデモンストレーションや、製品プレゼンテーション、建築現場での確認作業など、短時間で多くの人がVR体験を共有する必要がある場面で特に有用だと考えられる。

ニッチ市場とビジネスニーズの偶然の一致

シフトールとパナソニックの協業は、ニッチ市場への徹底的な特化が予想外の汎用性を生み出すという、逆説的な製品開発の成功例を示した。VRChatユーザーの厳しい要求に応えることが、結果としてビジネス用途にも適した高性能VRヘッドセットの誕生につながったのだ。

185グラムという軽さと4K高解像度ディスプレイの両立、そして跳ね上げ式という簡素ながら実用的な機能の採用は、従来のVRヘッドセットの常識を覆すものだ。大手企業が見落としがちなニーズを掘り起こし、新たな市場開拓につながる可能性がある。ニッチ市場と幅広い用途の融合という視点は、VR技術のさらなる進化と普及のカギとなるかもしれない。

石井 徹:モバイル・ITライター

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