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中止の新線計画復活?英「政権交代」で鉄道大改革 国鉄民営化以来続いた運営方法も大幅見直し

東洋経済オンライン / 2024年10月18日 6時0分

イギリスで建設中の高速鉄道「HS2」の車両と駅のイメージ。第2期区間の計画は保守党政権時代に中止となったが再開の動きが出ている(画像:© High Speed Two Ltd)

イギリスで7月に行われた総選挙で労働党が大勝し、14年間与党の座にあった保守党から政権を奪取した。

【図と写真でわかる】高速鉄道「HS2」の計画ルートや、政府が見直しを進める複雑な鉄道運営の仕組みを図解。イギリスの鉄道改革、どう変化する?

そんな中、労働党が主導権を持つイングランド中西部のマンチェスターとその周辺自治体の首長たちが、保守党政権時代に財政難を理由として計画中止となったロンドンとイングランド北部を結ぶ高速鉄道「HS2(ハイスピード2)」の第2期区間の新設予定路線に沿って、改めて「鉄道を敷こう」というプランを打ち出した。

二大政党制のイギリスにおいて、政権交代が起こるとそれまでの政策や公共事業への取り組みが一気に方向転換することは少なくない。労働党新政権主導で大規模な鉄道改革に踏み切る姿勢も見え始めている。いったい何が起ころうとしているのか。

鉄道運営の仕組みを一から見直し

HS2第2期区間については、保守党政権が2023年10月に工事中止を発表した(2023年10月11日付記事「イギリス高速鉄道『未着工区間は中止』の衝撃」)。しかし、マンチェスターやそれに隣接する地域の首長らは、地元の経済発展を目指し、敷設計画の復活を改めて提案している。

【図と写真】高速鉄道「HS2」の計画ルートや、政府が見直しを進める複雑な鉄道運営の仕組みを図解。民営化以来の「フランチャイズ制度」からコロナ禍の緊急措置、そして鉄道改革でどう変化する?

提案の内容は、もともとの計画より規格を低くし、最高速度もやや下げてコストダウンを図るというものだ。この案だと、ロンドン―マンチェスター間の所要時間は当初計画より15分長くなるものの、現在と比べて30分ほど短縮できると試算されている。

敷設予定の土地の一部はすでに政府が買収済みで、測量などに20億ポンド(約3900億円)が費やされているという経緯もあるが、金がない、とあきらめた高速鉄道の新設計画がこうした形で復活するのはやはり政権交代のおかげと言えるだろうか。沿線の人々は、失望から希望へと気持ちを切り替えている様子がうかがえる。

そして、政権交代を機に、労働党は現在のイギリス鉄道の仕組みである「上下分離・フランチャイズ方式」を一から見直し、次なるステップに進むという大きな決断を下した。

コロナ禍で露呈した鉄道運営の脆弱性

イギリスの鉄道は1994年、国鉄(British Rail)の民営化のプロセスの一環として上下分離化され、その後1996~1997年に運行が民間に移行した。「下」に当たるインフラの管理は運輸省傘下のネットワーク・レール(Network Rail)が担い、「上」に当たる列車運行は入札を通じてフランチャイズ(運行権)を得た民間の鉄道運行事業者(TOC)が担っている。

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