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中止の新線計画復活?英「政権交代」で鉄道大改革 国鉄民営化以来続いた運営方法も大幅見直し

東洋経済オンライン / 2024年10月18日 7時0分

民営化は鉄道の活性化を招き、コロナ禍前には全国の鉄道利用者数が第2次世界大戦後最多にまで増えた。一方で、こうした二重構造が存在することで、インフラ管理側と運行を担うTOCとの連携不足、サービスの一貫性の欠如、さらには需要があるのにインフラ側の工事の都合でやたらに運休するといった利用者の視点を欠いた運営など、さまざまな問題を引き起こし、鉄道サービス全体の質を低下させる要因ともなっていた。

政権交代によって一気に鉄道改革が加速しているわけだが、それ以外にも改革に着手しやすくなった大きな理由がある。それは、コロナ禍という未曾有の事態によって、これまでの仕組みの脆弱性が一気に露呈したためだ。

フランチャイズ制度では、TOCは運賃収入を得て、そこから運行費用をまかなうほか、車両のリース代や線路・駅の使用料、運輸省に収める「プレミアム」などを支払い、残った分が儲けとなる。運賃収入の増減によるリスクはTOCが負っているが、コロナ禍によって乗客数は一気にそれまでの数%台まで減少。運賃収入も激減してTOCの運営が行き詰まり、フランチャイズモデルは持続不可能となった。

そこで当時の保守党政権は「緊急回復契約(ERMAs)」を導入した。これは政府がいったん全ての運賃収入を受け取り、TOCに対して運行に必要なコストを含む適切な分配金を支払う方式だ。この緊急措置によってTOC各社は「経営のリスク」からひとまず解放された。各社は受け持つ路線での運行を維持しつつ、フランチャイズ制度は停止となった。

「緊急措置」の有効性が改革を後押し

コロナ禍において、イギリスでは数十万人に及ぶ関連死者を出すなど、国として大きな痛手を負った。

だが、鉄道界についてはERMAsの方法を導入できたことで、頭痛の種だったフランチャイズ制度からの撤退に向けて大きな示唆があった。運賃収入とインフラを一元的に管理したうえで鉄道サービス全体を統括するというモデルの有効性がわかったからだ。この緊急体制が良好に推移したことが、大規模な鉄道改革を推し進める決定的な根拠となった。

大規模な改革の主軸となるのが「グレート・ブリティッシュ・レイルウェイズ(GBR)」の設立だ。日本語に直訳すると「偉大な英国の鉄道」という意味になり、政府の力の入れかたがわかる。

GBRは運賃収入やインフラの管理を一元化する一方で、運行は既存のTOCに委託する「コンセッションモデル」を採用し、TOCに対し運行のための適切な分配金を支払う。なお、GBRのスキームにおいては、従来のTOCが旅客サービスオペレーター(PSO)と呼ばれることになる。

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