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AI翻訳「ポケトーク」アメリカ市場を席巻の原動力 専用端末、セキュリティ重視で公的機関に浸透

東洋経済オンライン / 2024年10月18日 7時0分

過当競争のアプリ市場を避け、高度なセキュリティ機能を備えた専用ハードウェア市場という、比較的競合の少ない領域で独自のポジションを確立していることが、ポケトークの現在の成功につながっているといえるだろう。

ハイブリッド戦略:専用端末からソフトウェアサービスまで

一方で、ポケトークのサービス群は、専用端末だけにとどまらない。ポケトークアプリ、ポケトークライブ通訳、ポケトークカンファレンス、ポケトーク for スクールといったサービス群を構え、さまざまなシーンでの音声翻訳に対応している。

ポケトークアプリは、スマートフォン向けのAI通訳アプリで、85言語に対応し、カメラ翻訳機能や発音練習機能も搭載している。2022年5月の日本国内での提供開始以降、急速にグローバル展開を進め、現在45の国と地域で利用されている。

ポケトークライブ通訳は、ブラウザベースのAI同時通訳サービスで、さまざまなデバイスで利用可能だ。リアルタイムでの音声およびテキスト翻訳が可能で、オンライン会議や対面会議、セミナーなど多様な場面で活用できる。

ポケトークカンファレンスは、大規模な国際会議やイベントでの同時通訳を可能にするサービスで、10言語から74言語への音声およびテキスト通訳に対応している。聴講者は自身のスマートフォンで簡単に利用でき、専用機材が不要なため準備が容易でコスト削減効果が高い。ポケトークの若山幹晴社長によると、ポケトークカンファレンスの性能に感銘を受けた聴講者が、ポケトークユーザーとなることも多いという。

教育現場向けには、ポケトーク for スクールというサービスを展開している。このシステムは、教師の発言を生徒の母国語にリアルタイムで翻訳し、タブレットに表示する仕組みだ。若山社長によると、神戸市でのテスト導入を行っているほか、ソフトバンクと協力して多くの教育委員会への導入を進めていく方針だ。

通信インフラの戦略的転換

ポケトークS2では、通信インフラ面でも大きな転換を図った。これまでKDDI系列のスタートアップであるソラコムと提携していたが、新たにソフトバンクを通じてドイツの1NCE(ワンス)のサービスを採用することを決定した。松田会長は、この変更について「圧倒的な低価格」を主な理由として挙げている。1NCEのeSIMサービスは基本料金が10年間で2000円という価格設定で、173カ国で通信サービス提供が可能となる。

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