NASA発表「太陽の活動"極大期"」今後1年は要注意 3つの危険物質、通信障害も?わかりやすく解説
東洋経済オンライン / 2024年10月19日 9時0分
太陽フレアによって引き起こされる出来事は、かなり複雑ですよね。
こうした地球を取り巻く宇宙で起きる自然現象を「宇宙天気」といい、その予測をすることを「宇宙天気予報」といいます。文字通り、天気予報の宇宙版です。
ただ、宇宙天気予報は完成されたものではなく、日々観測データを蓄積し、研究が行われている現在進行形のものです。
太陽フレアが起こるきっかけのメカニズムや、フレアにともなう地球への影響の評価には、まだ謎や課題が残っています。
太陽フレアの発生はこれからがピークに
国の研究機関、情報通信研究機構(NICT)のウェブサイト「宇宙天気予報」では、日々、太陽や地球周辺の現状や予報についての情報が発信されています。
ただ、何も知らずにのぞいてみると、難解な用語に圧倒されてしまいます。こうした情報に少しでもなじめるようにと思い、今回の記事では専門用語を多めに入れて解説してみました。
ウェブサイトのトップページには、先ほど紹介した「プロトン現象」「地磁気擾乱」「デリンジャー現象」という言葉があるので、多少の安心感はあるのではないでしょうか(いや、それでも、やはり難しいですね)。
2022年、国は、100年に1度の極端な太陽フレアが発生した場合の「最悪のシナリオ」を発表しました。
今回紹介した出来事が悪い形で発生し、相当な数の人工衛星の墜落、広範囲での停電、GPSのずれによる衝突事故などが起こると想定されています。
さらに「太陽電波バースト」という電波のノイズによって、2週間にわたって携帯電話、緊急通話(110番・119番)、テレビが断続的に使えなくなる事態に陥る可能性もあります。
文明の利器に支えられた現代の社会システムには、宇宙天気による災害のリスクが潜んでいるのです。
太陽の活動は、いま、そしてこれからが本番。今後1~2年は、大規模な太陽フレアが発生し、地上の暮らしに影響が出ることも十分考えられます。
そんないまは、地球を取り巻く宇宙環境について学んでみるいいタイミングかもしれません。
井筒 智彦:宇宙博士、東京大学 博士号(理学)
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