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ホラーゲームの名作、最新技術で蘇る"心理的恐怖" かつての「独特の空気」を強く感じられる一作

東洋経済オンライン / 2024年10月20日 14時0分

一方で、リメイク版『サイレントヒル2』を遊んで筆者が違和感を覚えたのが『バイオハザード』のフォロワーであることを強調している部分だ。

『サイレントヒル2』は明らかに、カプコンの『バイオハザード』シリーズから影響を受けている。前述の固定カメラもそうだし、奇妙な謎解き、アイテムのリソース管理(残数を気にしながらゲームを進める)といった部分も似通っている。

謎解きは特徴的なものが多い。鍵を探して行き先を見つけるというのは当たり前で、単なるアパートにも仰々しいメダルの謎解きがあるのだ。

サイレントヒルに到着したときも興味深い。ここで主人公のジェイムスは何をするのかというと、まず割れたレコードを探し、それを接着剤でつけて、続いてコインを探して、最後にジュークボックスにかけることでようやく次へ行けるのだ。

いかにもゲーム的であり、現実ではまずありえない奇妙な謎解きだ。これは怖さよりおもしろさが勝るので恐怖を演出するという意味ではノイズなのだが、しかし、リメイク版ではあえてそこが強調されているようだ。

バトルにおけるゲームシステムも強化されている。本作はクリーチャーと戦うときに銃のみならず、鉄パイプなどの近接武器も存在する。リメイク版では近接武器が使いやすくなっているうえ、敵の攻撃をうまく回避しつつ、殴りまくって踏みつけるといったアクションができるようになっている。

不気味なクリーチャーをぶん殴って踏みつけるのは、スピード感ある演出もあいまって気持ちよいのだが、一方で心理的恐怖を忘れる瞬間でもある。

正直、私はリメイクで「ウォーキングシミュレーター」としての側面を強めるものだと思っていた。ウォーキングシミュレーターは名前のとおり、歩くことをゲームにしたもの。プレイヤーはただ歩くだけだが、それで世界を見て回ったりストーリーを追うことを楽しむわけだ。

実際、『サイレントヒル2』にもそういう場面があるし、本作を「ウォーキングシミュレーター」というジャンルの源流のひとつとみなす人もいる。何より、心理的恐怖を描くのであれば謎解きやバトルはもっと控えめでもよい。

にもかかわらず、なぜリメイク版ではそれを強調したのか。理由のひとつとして考えられるのは、本作を2001年のゲームであることを示すため、あるいは原作らしさを出すためである。

2001年の空気が詰まっている

初代『バイオハザード』が発売されたのは1996年のことである。この作品はブームになり、3Dグラフィックを活用したホラーゲームが日本でも多くの人に認知され、さまざまな方向が模索される。

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