藤原行成「道長も一条天皇も信頼」驚異の論破力 波乱万丈な人生、どう信頼を勝ち取ったのか?
東洋経済オンライン / 2024年10月20日 9時30分
強力な後ろ盾がいない敦康を皇太子に据えても、混乱を招くのみ。それならば、十分な恩給を与えて、有能な人材を仕えさせたほうが、敦康親王のためにもなるのではないか……というのが、行成の意見だった。道長の気質を踏まえたうえでの、今後を見通した現実的な提言といえよう。
一条天皇は、敦康の擁立を断念。道長の孫にして、第2皇子の敦成親王が立太子されることとなった。
大局的な見地から、論理を組み立てて、相手を説得することに長じていた行成。大河ドラマ『光る君へ』では、誠実で温和な行成を渡辺大知が好演してる。大事な場面では、情熱的に語る姿も、よく表現されているように思う。
意外とめんどくさい一面も
一方で『権記』をよく読むと、最愛の妻を亡くしたときに、弔問に来なかった人物の名前をしっかりと書き残していたり(長保4〔1002〕年11月23日)、「私は道長に作法を褒められたが、権大納言の藤原斉信の作法は道長に酷評された」とわざわざ記していたりと(寛弘8〔1011〕年10月18日)、陰気でプライドの高い一面も、垣間見られる。
そんな行成の意外とジメジメしたところもまた、相手への細やかな気遣いへとつながったのではないだろうか。
【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
『藤原行成「権記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
源顕兼編、伊東玉美訳『古事談』 (ちくま学芸文庫)
桑原博史解説『新潮日本古典集成〈新装版〉 無名草子』 (新潮社)
今井源衛『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
関幸彦『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』 (朝日新書)
繁田信一『殴り合う貴族たち』(柏書房)
倉本一宏『藤原伊周・隆家』(ミネルヴァ書房)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)
真山 知幸:著述家
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
本来なら天皇になれるはずだったのに…生まれてから死ぬまで藤原道長に振り回された敦康親王の悲しき生涯
プレジデントオンライン / 2024年10月13日 15時15分
-
「孫を皇太子にした道長」あまりに強引すぎる策略 第1皇子の敦康親王が皇太子になるはずが…
東洋経済オンライン / 2024年10月13日 9時30分
-
栄華を極める「藤原道長」裏にある"大病との闘い" 一条天皇に出家を願い出ることもあったが…
東洋経済オンライン / 2024年10月12日 10時0分
-
宮中ご意見番「藤原実資」思わず涙した彰子の言葉 道長など時の権力者にも躊躇なく物申した実資
東洋経済オンライン / 2024年10月6日 14時0分
-
藤原道長にいいように利用され、最後は天皇の座を奪われた…2人の中宮を持った一条天皇が迎えた悲しい最期
プレジデントオンライン / 2024年9月29日 14時15分
ランキング
-
1セブンの「上げ底弁当?」が今また"猛烈批判"の訳 値上げによる客離れを恐れ、ファン離れが発生か
東洋経済オンライン / 2024年10月20日 8時20分
-
2「50代独身、団地暮らし」に猛烈に惹かれるワケ 「団地のふたり」が織りなす"なんかいい暮らし"
東洋経済オンライン / 2024年10月20日 11時0分
-
3ディーラー元営業マンがこっそり明かす「不人気新車を買わせるセールストーク」5選
日刊SPA! / 2024年10月20日 8時53分
-
4ロシア軍が「とてつもない数」の戦車を失う? ウクライナ軍の撃破報告が“大台”に到達 驚愕の数字とは
乗りものニュース / 2024年10月19日 11時42分
-
5嫌われ養鶏所→人気観光地に「たまご街道」の軌跡 地域住民と共生するためにやってきたこと
東洋経済オンライン / 2024年10月20日 12時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください