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大コケ映画「ジョーカー2」を責めてはいけない訳 今年最大の注目作があえてセオリー無視で挑んだこと

東洋経済オンライン / 2024年10月20日 12時0分

©Warner Bros./DC Studios

ハリウッドがあいかわらず『ジョーカー』の話題でもちきりだ。ただし、その理由は5年前とはまったく違う。

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日本でも報道されている通り、続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は、アメリカの批評家に酷評された。ヴェネツィア国際映画祭でのお披露目の後から「評価が分かれるらしい」と言われてきたが、北米公開2日前にロサンゼルスで2回のマスコミ試写があり、大勢の批評家の記事が翌日一斉に出たことで、一気に悪評が広まったのだ。

観客評価はアメコミ映画で過去最悪

いざ公開されると、シネマスコア社の調査による観客評価もアメコミ映画で過去最悪の「D」。ネガティブな口コミが広がって、日曜にかけて数字が下がり、予想よりさらに低い成績に終わる。このことは業界で大きなニュースになったが、公開2週目に興行収入8割ダウンというDCキャラクター映画で過去最大の落ち込みを記録し、またもやネタを提供した。

この作品が受け入れられなかった理由については、すでに多くの媒体で書かれているので、本稿ではあえて繰り返さない。ここでは、業界人と業界メディアがこの失敗について、なぜここまで大きく騒いでいるのか考察したい。

単純な答えは、まず今年最大の注目作だったから。みんなに見つめられる中で、この映画はハリウッドにおける典型的な失敗をやってしまったのだ。ひとつは、莫大な予算をかけ、赤字にしてしまったこと。もうひとつは、1作目のファンを失望させる続編を作ってしまったこと。なぜそこをコントロールできなかったのかと、人々は疑問を抱くのである。

まず、お金について。ハリウッドのメジャースタジオは、ほかの国では考えられないレベルのお金をかける。だが、予算をたっぷりかけた映画の作り手は、しばしばその話題を避けたがる。失敗した時に格好がつかないからだ。

逆に、低予算で作った映画が成功すると、「お金もかけずにこんなすごいものを作った」と、美談になる。500万ドル以下でオリジナリティのあるホラー映画を作り、たびたびヒットさせるブラムハウスなどは、それ自体がブランドになっている。

オリジナルである前作の『ジョーカー』は、R指定でリスクが高いと判断され、トッド・フィリップス監督は、アメコミのキャラクターの映画にしてはかなり低い5500万ドルしかもらえなかった。にもかかわらず、10億ドルの大ヒットに持ち込み、アカデミー賞を2部門で受賞するという快挙を達成した。まさに美談だ。

赤字になるのはほぼ確実

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