「大江戸温泉が高級化」いったい何が変わったのか 西日本を中心に展開する「湯快リゾート」と統合
東洋経済オンライン / 2024年10月20日 9時0分
さらに利用者の視点に立って見ても、大江戸の施設をお得に利用できる「いいふろ会員」は、現行の37施設の倍近い66施設を会員価格で利用できるようになるなど、統合のメリットは大きい。
提供サービスは未完成
さて、筆者はこの原稿を書くに当たり、TAOYAと大江戸温泉物語Premium、それぞれに宿泊した。リニューアルされた施設に実際に泊まってみると、とくにハード面は、かつての大江戸とは見違えるように洗練されているのに驚いたが、その一方で課題も見えた。以下、2024年6月にリニューアルオープンした「大江戸温泉物語Premium 伊勢志摩」への宿泊体験を中心に記すことにする。
まず、大浴場やラウンジなどの共用施設について見ていく。大浴場は非常に清潔感があり、リニューアルに当たって「より開放的にした」(現地スタッフ)という露天風呂は、眼前に広がる海の景色を一望できるなど申し分なかった。
ラウンジではビールを含むドリンク類や高機能マッサージチェアなどが無料で楽しめるほか、屋外デッキに出ると海に溶け込むような「水盤デッキ」が設置されているなど、高級感を演出するつくりになっている。
一方でリニューアルが、やや中途半端に感じられるのが客室だ。全83室のうち、今回のリニューアルで17室を、これまでの和室タイプからベッドタイプ(高さの低いローベッド)の「和モダンルーム」に改装した。この和モダンルームは、各地で進めているPremiumシリーズへのリニューアルの大きな目玉だという。
「近年は年配のお客様でもご自宅でベッドで寝られる方が多い。また、これまでのように大人数で宿泊されるお客様を定常的に取り込んでいくのは難しく、和モダンルームは、今後のボリュームゾーンとなる2~3名で宿泊されるお客様をターゲットとしている」(梅村氏)
和モダンルームは好評だというが、逆にいうと、残りの大半の客室はこれまでの大江戸と同じ和室タイプのままである(3室はリニューアル前から洋室タイプ)。「限られた投資額で、より多くのお客様にリニューアルの価値を享受していただくためには共用施設部分を優先する必要があり、どうしても客室の改装は後回しにせざるをえない」(梅村氏)とのことだが、せっかくきれいな大浴場やラウンジでくつろいでも、客室に戻るとがっかりするというのが正直なところだ。
バイキングにはご当地メニューが多く並ぶ
次に食事を見てみよう。元々、大江戸のバイキングは美味しいと定評があるが、Premium 伊勢志摩のバイキングで目を引いたのが、ご当地メニューの割合が多いことだ。郷土料理の「てこね寿司」や「伊勢志摩産あおさ海苔のかき揚げ」など、地元の食材を使った料理がバイキングに並んでいた。
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