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ヒット作を量産「縦スクロールマンガ」の"舞台裏" ブームから1年、月1億円以上売り上げる作品も

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 17時0分

2023年11月に、東京池袋でおこなわれたIMART(国際マンガ・アニメ祭ReiwaToshima)でのセッション「Webtoonの販売戦略~見えてきた成功の形」には、LINEマンガを運営するLINEDigitalFrontier取締役COO森啓氏、株式会社ナンバーナイン代表取締役社長小林琢磨氏、株式会社Minto取締役中川元太氏が登壇しました。司会と企画は筆者です。

このセッションの中で、2022年9月にスタートした『神血の救世主』が、ビュー数や販売額の面で、ヒットの兆しを見せ始めていることが、スタジオとプラットフォームの両者から明らかにされました。

すでに、月によっては約5000万円ほどの売り上げをあげる月もあること。それから、通常初速で大きく売り上げを上げてから、徐々に下がっていくのがウェブトゥーンの販売推移の特徴ではあったが、この作品は少しずつ売り上げを上げて積み上げて行く、日本のマンガに近い動きを示したという話が出ました。

この話の中で、ナンバーナイン小林氏から出た言葉が印象的でした。

何を心がけて作品をつくっているのか?という私の問いに対して、小林氏はこう答えています。

「まず、100作品のウェブトゥーンを編集者と、神血の原作者であるジャンプ出身の江藤俊司氏と一緒に読み合わせ、当たる作品というよりは、外れる作品の法則を読み取りました。そこから導き出した考え方として、ハンバーグを食べたい言ってくれている人に、奇をてらわずに、国産牛のハンバーグをしっかり焼き上げ、変化球の味付けではなく、最もスタンダードなデミグラスソース味のハンバーグをしっかりつくって、読者にお届けする。このことが大事だと考えています」

とのことでした。一言でいうと、ベタが大事ということです。

ウェブトゥーンを取り巻く環境

ここには、さまざまな要素があると思います。

もともとマンガの世界は「千三つ」といわれ、たくさんの多様な作品をつくって、しかも長い時間をかけてヒット作品が産まれるということがいわれてきました。参考に、メガヒットということでいうと、週刊少年ジャンプで『ドラゴンボール』が産まれるまでに創刊から約25年、近年一番の大ヒットである『鬼滅の刃』は、50周年前後でヒットしたというものです。

これらはあまたの作品がつくられたベースのうえでの、円熟の上に出てきている作品だったと思います。

ここでいう25年、50年という歳月の中には、1969年の週刊少年ジャンプ創刊の頃、まだまだマンガは子どもたちだけが読むものであった時代から、マンガを読む世代が広がり、読者が十分に育った状況が現在であるという点も大きいと思います。

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