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ヒット作を量産「縦スクロールマンガ」の"舞台裏" ブームから1年、月1億円以上売り上げる作品も

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 17時0分

そして、今の日本のウェブトゥーンを取り巻く環境は、横と縦の違いはあれど、マンガやウェブトゥーンに触れてきた、多くの読者やクリエイターがいる状態からのスタートになります。

そのなかで「デミグラスソースハンバーグ」のような作品を、それが読者の求める作品であると見極めること。および、それを確実につくっていく技術をスタート時から揃えていたことは、第一に当事者であるナンバーナイン社の努力ではありますが、第2に日本にはそうした、作品づくりや原作者と編集者が歩調を合わせてヒットを目指すという下地が人材含め十分にあったということがいえるのではないかと思います。

現在、国産ウェブトゥーンスタジオで頭角を現しているには、必ず何か下地があるように筆者は見ています。

ナンバーナインは、同社代表の小林琢磨氏が最初に起業したサーチフィールドの時代から、イラスト制作などのマンガに近しい領域で実績がありました。

その後の同社創業時からは、電子コミックのエージェントをしながら作品制作などにも携わるなど、マンガに対する理解度が高い企業です。

ソラジマは、もともとマンガ動画を制作することで結果を出して頭角を表してきましたが、その際に培ったコンテンツへの勘所や、高速回転して学習していくスタイルで、作品でも結果を出しています。

フーモアは、2011年の創業時から多くのクリエイターとともに、イラスト制作を膨大に受注してきました。そのかたわら、横漫画やウェブトゥーンの研究を長く続け、現在は高品質なウェブトゥーンを受託制作するという強みを活かしたスタイルで、強い原作をウェブトゥーン化することでリードしています。

Mintoは、2社が合併してできた企業ですが、前身の1つであるwwwaapはSNS上でマンガを多くの人に届けることに長けた企業で、編集部にもその前からマンガ編集部にいた人間が多く、作品づくりにそのノウハウが色濃く出ています。

CLLENNは、DMMグループ内で3社の出版社・スタジオが合併してできた企業ですが、3社それぞれに出版社経験者や長く作品をつくっていたメンバーがおり、地道に頭角を現しています。

ブックリスタスタジオは、元々編集者として十分に経験を積んだ事業責任者のもと、手堅く結果を残す作品をつくり、手堅く売っています。

日本マンガの下地を活かしたウェブトゥーン

まだまだこれから伸びそうな期待の企業や、日本に根付いている韓国系企業など、地力のあるスタジオはあるのですが、書ききれないほどです。

こうしてみると、国産ウェブトゥーンスタジオはたくさんあるなかで、特に頭角を現しつつあるスタジオは、何かしら良い作品をつくる下地があり、その下地のなかにウェブトゥーンはもちろん、日本のマンガに対するある程度の理解を携えたうえで、ウェブトゥーンに取り組んでいる共通点があると思います。

そして、日本に根付くマンガ産業の、ノウハウや歴史、潤沢で質の高いクリエイターがたくさんいる環境を、活かしているようです。

そうした意味では、本丸ともいえるジャンプTOONも始動し、日本のマンガの下地を活かしたウェブトゥーンづくりが芽吹いてきつつあると、私には見えています。

菊池 健:一般社団法人MANGA総合研究所所長/マスケット合同会社代表

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