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木村石鹸「自己申告型給与制」に込めた会社の願い 「being(ありのまま)の価値」も評価したい

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 10時0分

単にモノを効率よく生産する工場ではなく、新しくユニークなものを産み出していきたい。そんな思いから「studio」と名付け、さまざまな活動の拠点となって変わり続けていく存在だという意味を込めて「project」とした三重伊賀工場(写真:木村石鹸)

大阪府八尾市に本社がある木村石鹸は大正13年創業の石鹸メーカー。伝統的な「釜焚き製法」を守り、2024年4月には創業100年を迎えました。

同社の社訓には「家族を愛し仲間を愛し豊かな心を創ろう」「チームワークを大切に笑顔で明るい職場を創ろう」など、社員たちが「こうありたい」と思う言葉が並びます。

木村石鹸とは、どのような会社なのでしょうか。自分の給与を自分で提案する「自己申告型給与制度」から、その様子を見てみましょう(本記事は4代目社長・木村祥一郎さんの著書『くらし 気持ち ピカピカ ちいさな会社のおおらかな経営』より一部を抜粋したものです)。

この記事のシリーズ
【1本目】「仕方なく」家業を継いだ男性に起きた心境の変化


【2本目】木村石鹸「自己申告型給与制」に込めた会社の願い(本記事)
【3本目】「万人向けでない」と明言のシャンプー人気のなぜ
【4本目】木村石鹸「非効率な」固形石鹸づくり再開の物語

「beingの価値」が会社を強くする

木村石鹸では、自身の給与を自分で提案する「自己申告型給与制度」という、ちょっと変わった制度を採用しています。

【写真】社員を温かく見守る4代目社長の木村祥一郎さん

この自己申告型給与制度では、未来に対しての自分の貢献内容と、その貢献内容に見合う給与額を社員一人ひとりが自ら提案します。となると、給与額を上げるには、何か新しい取り組みや新しい役割を提案しないといけなくなる。

でも、新しい取り組みをするでもない、新しい役割を担うでもない、今やっていることを続けていくだけ、つまり、ただそこに「いる」ことに価値がある人もいるんじゃないかと思うんです。

その人がいるだけで場の雰囲気が和んだり、心理的安全性が高まったり。そんな人には誰もが気軽に相談できるので、組織の問題やトラブルに早く気づける。

その結果、スムーズに仕事ができ、離職率も下がる。こういう価値を、僕は「being(ありのまま)の価値」と呼んでいます。ただ「いる」ことに価値がある人って、組織には必ずいるのではないでしょうか。

問題はこの「being」の価値を、自己申告型給与制度の中でどうやってくみ取ればいいのかということ。なぜなら、この価値は自己申告しづらいから。当人が、私には「beingの価値がある」なんて言いにくいでしょうし、本人が自分の価値を自覚していないこともあります。

仕事はふつうにちゃんとやる。でも仕事内容や役割はそのまま変わらない。

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