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稲盛和夫さん「胃がんがわかっても平常心」の強さ 30年間にわたり彼を見てきた参謀のノートより

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 19時0分

ただ、自分の心がどのような状況にあるのかは、自分でもすぐにはわからないものです。それを知るために必要なのが、「反省ある毎日を送る」ことだと稲盛さんは語っています。

稲盛さん自身、毎朝、洗面をする際に、前日の自分を振り返り、反省することを習慣としていました。

そして、平常心を失い、何か人間としておかしな言動をしていたことに気が付くと「神様ごめんなさい」と声を出して謝っていたそうです。その結果、「たくさん間違った判断をしてきたが、すぐに修正してきた」とも率直に話していました。

また、こんな言葉も残しています。

「人間は人の心は見ようとするが、自分の心は見ようとしない。自分の心を一皮むけば、低次元のくだらないことを思い描いている。それを反省し、理性で戒めなければならない」

政治家がよく口にするような表面的な反省ではなく、心の奥底に何があるのかを確認したうえでの、心からの反省でなければ意味はないということです。それに加えて、「感性的な悩みをしない」ことも心を落ち着かせ、平常心を保つためには大切だと教えています。

「心の悩みをくよくよといつまでも持ち続けないことが大事です。現世では頭を悩ますようなことはいくらでも起きてきます。そんなことにとらわれるより毎日を明るく、前向きに一生懸命生きることのほうが大切なのです」「そうすれば必ず運命は開かれていきます」と稲盛さんは諭しているのです。

「ミスをして迷惑をかけてしまった」「親しい友人とけんかしてしまった」「約束を破られた」というようなことは日常茶飯に起こります。それで気落ちしてくよくよしても、何も解決しません。むしろ、それで悩み続けていると健康を害してしまうかもしれません。

反省すべきは反省し、「覆水盆に返らず」というように、終わったことは仕方ないと忘れて、すぐに明るく前向きに一生懸命生きるべきなのです。

このように心がけることで平常心が保てる。つまり、「一生懸命生きて安心立命できる」のだと稲盛さんは教えているのです。

何事にも動じず、物事を深く考える

私が、最初に平常心の大切さを痛感したのは、稲盛さんが胃がんになったときです。それは稲盛さんが65歳のときでした。

その数週間前から、稲盛さんは食事後、胃が痛むと言って胃薬を飲むようになっていました。たまたまその年は人間ドックでの検診が遅れていましたので、私は人間ドックにすぐに行くことを勧め、そこで胃がんが見つかりました。

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