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三菱重工、知られざる「鉄道メーカー」の世界戦略 「架線レス」武器に新交通システムで営業攻勢

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 6時30分

シンガポール・チャンギ国際空港のターミナル間を結ぶ三菱重工製のAGT(記者撮影)

9月24日から27日にかけてドイツ・ベルリンで開催された国際鉄道見本市「イノトランス」では、ドイツのシーメンス、フランスのアルストム、中国中車といった車両製造の大手企業の展示が目立った。

【写真を見る】2015年、幕張メッセで開かれた「鉄道技術展」の三菱重工ブースに展示された埼玉新都市交通「ニューシャトル」の車両。 そして2024年、「プリズモ」を紹介するイノトランスの三菱重工ブース

日本勢も車両組み立てから電機品やインフラ製造まで30を超える企業・団体が出展した。日立製作所や三菱電機のように単独で大型のブースを構え、派手なディスプレイを施して客の目を惹きつける企業もあったが、日本鉄道システム輸出組合(JORSA)のパビリオンに共同出展した企業・団体もあった。

「AGT」で存在感

JORSAパビリオンは巨大なホールをほぼ丸ごと借り切り、フロアの中央はJORSAの商談スペース。それを取り囲むように16の企業・団体がブースを構える。フロアの制約上、独自ブースのような派手な展示はせずパネル展示にとどまるブースが多かった。

ただ、「イノトランスは新規の顧客獲得よりも既知の顧客との情報交換が主目的である」と話す企業担当者もいて、情報交換だけであればパネル展示で十分という判断なのだろう。

そんな中、パネルの前で足を止めた客に対してその内容をスタッフが一生懸命説明しているブースがあった。

「ブースは小さいが、意気込みではシーメンスやアルストムに負けていません」――。

熱を帯びた口調でこう話したのは三菱重工業の説明員である。同社はJORSAパビリオンに出展した事業者の1社である。

日本の鉄道メーカーというと、日立製作所、川崎重工業など車両製造を手掛けるメーカーか、三菱電機や日本信号など電機品を製造するメーカーがまず思い浮かぶが、三菱重工もかつては機関車や客車を製造していた。また、台湾の高速鉄道では日本連合7社のリーダーとして鉄道システムを構築している。

そんな同社は、自動案内軌条式旅客輸送システム(AGT : Automated Guideway Transit)の分野で大きな存在感を発揮している。

AGTとは、小型で軽量の車両がコンピューター制御による自動運転により専用軌道上にある「案内軌条」に従ってゴムタイヤで走行する交通システム。路面電車やバスでは輸送力が足りず、鉄道では輸送力が過多となる区間において、その中間の公共交通システムとして誕生した。日本では従来の鉄道と区別する形で新交通システムと呼ばれることが多い。

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