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「ロシア以外にも」北朝鮮人民軍海外派遣の軌跡 空軍パイロットなど中心に中東・アフリカ諸国で実績

東洋経済オンライン / 2024年10月21日 8時20分

2024年6月19日、北朝鮮の平壌でロシアのプーチン大統領の歓迎式典で行進する北朝鮮軍将校たち(写真・Contributor/Getty Images)

韓国の情報機関・国家情報院は2024年10月18日、「北朝鮮がウクライナ戦争に1万人以上の派兵を決定した」と明らかにした。また、実際に兵士や武器が船舶でロシアに輸送されている様子を撮影したとする衛星写真も公開している。

北朝鮮はこれまでにも国外に軍隊を派兵した歴史を持つが、今回の情報が正しければ、1万人という規模の派兵は史上初だと思われる。

北朝鮮は数百人規模の将兵をベトナム戦争(1960年頃~1975年)中の北ベトナム(当時)へ、1970年代には第4次中東戦争(1973年10月6日~同年10月23日)中のエジプトとシリアに、空軍パイロットを中心に派兵している。このほかにもウガンダやコンゴ民主共和国など、中東・アフリカ諸国を中心に軍事顧問団の派遣など軍事支援を行ってきた。

戦闘機パイロットを北ベトナムに派遣

今回のウクライナ戦争への派兵の意味を考えるうえで、過去の北朝鮮による海外派兵の歴史を振り返ってみたい。

北朝鮮軍の海外派兵は具体的にどうだったのか。北朝鮮の政治・軍事に詳しい聖学院大学の宮本悟教授は、自身の著書『北朝鮮ではなぜ軍事クーデターが起きないのか?』で、北朝鮮軍派兵の歴史を詳細に記している。

北ベトナムには1966年10月下旬から11月下旬にかけて戦闘機のパイロットを中心に150人ほどを派遣している。ただし、交替制だったので実際の延べ人数はこれより多いとみている。

北ベトナムには中国や旧ソ連が「社会主義陣営の団結のため」という名目で支援していた。そのため、北朝鮮も同様な支援を行っていた。実際に1965年3月、南ベトナムでの反アメリカ民族統一戦線だった「南ベトナム解放民族統一戦線」に要請があれば派遣することを北朝鮮政府が表明した。

1966年5月5日、北ベトナムのホー・チミン主席が空軍支援を要請する親書を当時の北朝鮮の最高指導者である金日成氏に送り、これを金氏が受諾。同年9月に北朝鮮と北ベトナムは派兵協定に署名し、北朝鮮は朝鮮人民空軍の第203軍部隊を派遣した。

上述したように第203軍部隊は、1966年10月下旬から11月上旬ごろに北ベトナムに派遣され、1967年5月20日までに実戦配備された。その後、1969年ごろまで活動記録があるという。

北ベトナムが戦闘機や食糧などを北朝鮮に提供し、北朝鮮からはミグ17戦闘機のパイロット24人に加え、支援や後方、行政業務担当の113人などを含め約150人が送られた。

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