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ミニ新型EV「エースマン」温故知新デザイン進化論 つねに新しいスタイルであり続ける4つの意識

東洋経済オンライン / 2024年10月22日 12時0分

「今回はじめて、デザイナーはいつもと違ったことに挑戦したんです。通常であれば最初にスケッチを描きますが、エースマンのインテリアでは、まず考えたんですね。たとえば”夜のドライブでどんな体験をしてもらえるといいんだろう”って」

それを象徴しているのが、かなり凝った車内の照明だろう。ミニ・カントリーマンで始まった、車内各所に照明を当てるというコンセプトがさらに推し進められているのだ。選ぶドライブモードに応じて照明の色がダッシュボード、ドア内張り、さらにスライディングルーフまわりまで投影され、幻想的な印象すらある。

同時に、「3Dマテリアル」とハイルマー氏が呼ぶ、テキスタイル(一般的に布や織物などの素材や柄などを表す言葉)の使用範囲を大胆に拡大。ミニ・エースマンではダッシュボード全体を覆う。

テキスタイルは、スニーカーから着想を得た素材とのことだが、ざっくりした素材感にとどまらず、グラデーション的に色を変えていくデザインもユニークだ。このテキスタイルを用いたデザインは、マクラーレンが2024年10月に発表して話題を呼んでいるスーパースポーツカー「W1」で同様の手法を使った例ぐらいしか、私は知らない。

デザインで意識していること、そして未来のカタチ

「私はデザインチームに、4つを意識するようにと伝えているのです」。かつてBMWデザイン部で内装担当のデザイナーを務めていたハイルマー氏は語る。

Heartbeat(ハートビート:積極的なブランドへのかかわり)、Curiosity(キュリオシティ:いろいろなものへの好奇心)、Responsibility(レスポンシビリティ:作り出すものへの責任感)、Daredevil(デアデビル:挑戦を恐れないこと)です」(カッコ内は筆者の解釈)

「エースマンでは、レザーでなく、あえて新しいマテリアルに挑戦し、デザインの自由度を拡げ、独自性を追求しています。それに新しいテクノロジーをインフォテインメントシステムに使い、(ナビゲーションシステムが作動しているときの矢印をミニの形状にするなどして)乗る人がさまざまな“発見”を楽しめるようにしているのも、新世代のミニに盛り込んだアイディアです」

ミニをデザインするうえで“手札”がなくならないのは、市場のトレンドを見ていて、先にいくように努めているから、とするハイルマー氏の考えが、上記のインテリアのデザインコンセプトにもよく表れている。

これからミニのデザインはどんな方向へ向かわせたいのか、と尋ねられてハイルマー氏は、先に紹介した4つの要素が“重要”と答える。「なかでも、レスポンシビリティとキュリオシティ。この価値を若いクライアントに訴求していきたいですね」。

ハイルマー氏は、2024年9月13日付で発表されたBMWデザイン部の人事異動で、ミニのヘッドオブデザインから、BMW乗用車部門へ異動し、コンパクト、ミッドサイズ、それにMモデルを手がけることになった。後釜として、BMWが管理するデザインワークスからホルガー・ハンプフ(Holger Hampf)氏が移ってくる。

ミニのデザインは3、4年後に変化するか、そこは未知数だが、この先も、2024年10月に発表されたミニ・クーパー・コンバーチブルをはじめ、ハイルマー氏のコンセプトに基づいたモデルが登場するのは間違いない。

小川 フミオ:モータージャーナリスト

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