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VC大手「ジャフコ」のセクハラ事件に業界は沈黙 スタートアップ業界「セクハラ横行」報道の中で露呈

東洋経済オンライン / 2024年10月23日 7時40分

10月11日に会見した指宿昭一弁護士(左)と髙橋済弁護士。事件の経緯や幹部男性Aの謝罪文などについて説明した(記者撮影)

女性起業家の支援をうたうベンチャーキャピタル(VC)の社内で起きたセクハラ事件。その後の会社側の対応が「セカンドセクハラ」ではないかと波紋を呼んでいる。渦中にあるのは、国内専業最大手のジャフコ グループだ。

【写真】記者会見で配布された加害男性Aの謝罪文の写しには「今後は宴席の場においても一切飲酒しないことを誓います」との文言が

被害を受けたのは契約社員だった女性。10月11日、女性の代理人を務める指宿昭一弁護士と髙橋済弁護士が記者会見を開いた。会見の内容を総合すると事件は次のようなものだ。

2019年12月、オフィス内で開かれた忘年会の後に事件が起きた。帰宅しようとした女性をジャフコ幹部の男性Aが「もう帰るのかよ」と呼び止め、女性のマフラーで首を絞めた。男性社員Bは、その間に女性の体を触るなど強制的にわいせつ行為に及んだ。

「セカンドセクハラ」が起きた?

女性は会社の人事担当に被害を通報。セクハラと認定されたAとBは懲戒処分となった。Aは5営業日の出勤停止と出勤停止期間中の無給。Bは減給という処分だ。

女性によると両名は以前からセクハラ発言などを行っていた。日付が替わった深夜に電話をかけ、酒席に「来ないと仕事に協力しない」などと強引に誘い、女性が1時間かけて拒絶したこともあった。

事件後、三好啓介取締役(現社長)の指示で、Aは全社員の集まる月例会合で謝罪した。ジャフコは名前を明かさないことなどを女性に伝えて会合での謝罪について了承を得ていたとし、再発防止のために必要だったと説明する。

しかし女性は、事件後もジャフコで働くことを強く望んでおり、被害に遭ったことを周囲に悟られたくないと考えていた。「話すこと自体やめてほしい」と要望していたという。

女性は嫌だと言っているのに会社が交渉してくることにも苦痛を感じていた。だが、「具体的内容には触れず、加害者の所属する部員に限定して話す」という条件で渋々承諾したとする。ところがAが謝罪したのは全社員が集まる場だった。

月例会合での謝罪をきっかけに、被害を受けたのは彼女であると社内に広まり、女性の職場生活は一変した。仲良くしていた同僚女性から距離を取られるようになったり、仕事の相談をよくしていた同僚男性から「関わりたくない」と言われたり、孤立を深めていった。

セクハラを申告したことで受ける二次被害をセカンドセクハラと呼ぶ。女性側の弁護士は、まさしくこのセカンドセクハラが起きたと指摘する。女性は、事後対応のつらさから「通報しないほうがよかったかもしれない」と何度も思った。

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