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「NHK"旧ジャニ起用"」への批判がピント外れな訳 賛否の「NHKスペシャル」があぶり出した"本当の責任"

東洋経済オンライン / 2024年10月23日 9時10分

番組の最後に、長文の字幕が表示され、STARTO所属のタレントの起用を行うことを表明。続いて下記のような説明がなされた。

この問題はこれで終わったとは考えていません。NHKも当時の認識や対応が十分ではなくメディアの責任を果たせなかったと自省しています。改めて性加害をはじめとする人権侵害は決して許さないという姿勢を取引先も含めて浸透させ新しい事実が出てきた場合の検証は報道・番組を通じて行い公共放送としての役割を果たしていきたいと考えています。

この点も議論を呼んでいる。これを「制作現場の抵抗」と見る意見もある反面、本番組がSTARTOのタレント起用の“禊(みそぎ)”として利用されているのではないかという懸念も出ているのだ。

NHKはSTARTOのタレントを起用してよいのか?

そもそも、NHKはSTARTOのタレントを起用して問題はないのだろうか? 民放各社は、先んじて起用を決定しているが、NHKは公共放送であるだけに、慎重であるべきなのは事実だ。

一方で、NHKへのタレント起用に対する批判は、ピントがズレている点もあるように思う。ただし、これについては、NHK自身の説明にも問題がある。

NHKは、STARTOのタレントの起用に踏み切った理由として、「被害者への補償、再発防止への取り組み、両社の経営分離が着実に進んでいることが確認できた」と説明しているのだが、これには疑問が残るところだ。

理解が追いついていない人も多いのだが、旧ジャニーズ事務所の後継企業はSMILE-UP.であり、STARTOは新しく設立された企業だ。ただし、旧ジャニーズ事務所に所属していて、退所していないタレントは、STARTOに移っている。

メディアがタレントを起用する際は、SMILE-UP.ではなく、(新しい企業である)STARTOと契約することになる。

被害者への補償と救済は重要ではあるが、それはSMILE-UP.が行うべきことだ。STARTOとの契約が問題ないかどうかは、NHKの説明の後半部分の「経営分離が着実に進んでいるか」どうかが重要である。

番組の中で批判を浴びた、SMILE-UP.の補償本部長による被害者遺族に対する対応は、「わからない」を繰り返し、「心の底からお詫びができない」などと話す内容で、確かに誠実さに欠けて問題があった。

補償対象者や補償完了者の数字だけを見ると、補償は順調に進んでいるように見えるが、このシーンを見てしまうと「SMILE-UP.は被害者に誠実に寄り添う気持ちがあるのか?」という疑念を持たざるをえなくなる。

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