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ノンスタ石田の「漫才か、漫才じゃないか」の答え やすきよ大師匠の掛け合いにみる「漫才の原点」

東洋経済オンライン / 2024年10月24日 14時0分

大師匠を挙げて生意気をいうようですけど、今見ても見事やなと思います。

お客さんにとっても、実は「偶然の立ち話」という設定に乗っかる、もっといえばだまされるというのは、一番わかりやすいスタンスです。

お客さんがこのスタンスでいてくれていると、必然的に笑いも起こりやすくなるんです。なぜかというと、お客さんたちにとって、変なことを言うやつを常識的な立場から問いただすツッコミは、自分たちの「代弁者」だから。

お客さんが心の中で「なんでやねん!」と思ったタイミングで、ツッコミが「なんでやねん!」と叫ぶ。お客さんがツッコミと同じ立場になる、いうなれば会場中がボケの「被害者友の会」みたいになると、演じる側と見る側とに一体感が生まれます。

こういう反応を起こせば起こすほど笑いが起こるというのが、漫才の基本メカニズムです。

だからこそ漫才は、長きにわたり愛されてきたんやと思います。ツッコミが代弁してくれるから、お客さんは何も考えずそこに乗っかればいい。漫才が大衆芸能であり続けたのは、「人を選ばず笑わせることができるもの」だからやと思います。

漫才と「漫才コント」「コント漫才」の違い

SNSなどでは、一般の人たちの間でも「漫才か、漫才じゃないか」論を戦わせているのを見かけますが、そもそも「漫才」と「コント」の違いがよくわかってない人も多いんやないかと思います。

現に、よく街中などで「NON STYLEのコント、いつも見てます!」と声をかけられます。見てもらえるのは、ほんまにありがたい。でも言わせてもらうと、僕らがやっているのは「漫才」です。「コント」ではありません。

漫才とコントの線引きはプロの間でもさまざまですが、僕はざっくり「漫才」「漫才コント」「コント漫才」に分けて考えています。

漫才は、ひとことでいえば「しゃべくり」です。NON STYLEやったら、「井上」と「石田」という2人の人間が話して笑わせる。「偶然の立ち話」という漫才の基本に忠実なスタイルです。

一方、漫才コントとコント漫才は、コントの手法を取り入れた漫才のこと。コント=劇なので、特定の場面設定のもとで2人が役柄を演じます。よく見る典型は、「俺、ずっと◯◯してみたかってん」「ほなやってみよか」式に漫才に入るやつですね。

「漫才コント」が多いNON STYLE

じゃあ、漫才コントとコント漫才はどう分けられるかといったら、「設定の中の役柄と素の自分を行き来する」のは漫才コント、「設定の中の役を演じ切る」のはコント漫才、という区別です。簡単にいうと、より漫才に近いのが漫才コントで、コントに近いのがコント漫才という分け方です。

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