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7人乗り新SUV「CX-80」に見るマツダの生きる道 開発陣の「こだわり」が生む独自性の商品力

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 9時40分

「モーターの加速感をしっかり出すメーカーもありますが、それとエンジンがかかったときのギャップなど、ドライバーに違和感を抱かせてはいけないというのが、マツダの考え。エンジン車の感覚を大事にしました」(柴田主査)

“こだわり”が評価されマツダの販売は上々

操縦性だけでなく、いたるところに“こだわり”を見せる。これこそ、マツダが生き残っていくために必要なことなのだろう。

スバル好きの人のことをスバリストと言うが、マツダイストとかマツダーとは言わない。でも、世に確実に存在するマツダファンは、CX-80の開発背景を聞くとうれしくなるはずだ。

もっとも、同社にとって最重要なアメリカ市場では、2023年に前年比123%という販売台数を記録している。

2024年上半期も、前年同期比を1割近く上回った。だから、正しい言い方としては、「評価されるために、こだわらなければならない」、というより「こだわったゆえに評価されている」なのかもしれない。

“こだわり”は、インテリアにも反映されている。内装の素材や色にも、独自性がある。

色は、もちろん売れ線のブラックもあるけれど、タン(茶色)やピュアホワイトなど、日本ではあまり売れない、けれども確実にほしい人がいる、というものも用意されている。これは大きく評価したい点。

ダッシュボードの表面素材にはスエード調もあって、プレミアムブランドのクルマのようだ。乗っていて気分がよい。

「CX-5やCX-8から上級移行する車種として、CX-80を設定しています。性能で輸入車に劣らないクルマづくりをめざしていますから、デザインや質感も負けないようにとがんばりました」

デザイン本部の玉谷聡主査は、ほこらしげにそう語った。今回の試乗会で話を聞いた開発陣はみな同様にほこらしげで、それがなにより印象的だった。

“こだわり”がマツダの生きる道になる

価格は、マツダの頂点に位置づけられるだけあって、それなりの設定だ。

3.3リッターSKYACTIV-D 3.3のXDが394万3500円〜、e-SKYACTIV D 3.3なるマイルドハイブリッドディーゼルのXD HYBRIDは582万4500円〜、それにe-SKYACTIV プラグインハイブリッドのPHEVが639万1000円〜というぐあい。

しかし、たとえばホンダ「ヴェゼル」でもハイブリッドの上級グレードは350万円を超えるし、トヨタ「ハリアー」のプラグインハイブリッドは620万円だ。安くはないけれど、競争力はある。これもマツダの自信のあらわれだろう。

「ラージ商品群」の展開は、まだ始まったばかり。また、「ラージ」があるのだから、他のサイズの展開もあるのだろう。35周年を迎えた「ロードスター」も含め、“こだわり”を突き詰めたクルマづくりこそ、マツダの生きる道になるはずだ。

【写真】もう一度、見てみたい「CX-80」こだわりのディテール(59枚)

小川 フミオ:モータージャーナリスト

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