群馬県「人口10万人都市」の超濃厚な鉄道密度 東武線、JR両毛線、上毛線、わ鉄が走る桐生市
東洋経済オンライン / 2024年10月25日 6時30分
桐生市の資料によれば、JR両毛線の桐生駅は、市内の駅で群を抜いて乗降客数が多い。市内で唯一の高架駅で、ホームはわたらせ渓谷線を含めて2面4線あり、駅前広場も広く、市を代表する駅だと感じる。
上毛線の駅は、その桐生駅の北300mほどの場所にある西桐生駅で、同線の終点になっている。開業は1928年で、そのときの駅舎が現役であり、国の登録文化財に指定されている。
ちなみに桐生市内で、鉄道関連で国の文化財に指定されているものとしては、西桐生駅の西約1.5kmの渡良瀬川に架かる、同じ上毛線の渡良瀬川橋梁がある。
桐生駅の北にありながら、西桐生駅と名乗っているのは、中心市街地の西にあるからだろう。上毛線は起点の中央前橋駅も、JR前橋駅の約1km北に位置しており、中心市街地に近いことから、この駅名になったものと思われる。
西桐生駅と新桐生駅
東武鉄道桐生線の新桐生駅は、JR両毛線・わたらせ渓谷線桐生駅の2kmほど南、渡良瀬川を渡った先にあり、桐生線太田―相老間の開業と同じ1913年に生まれた。新桐生駅は浅草駅から出る特急「りょうもう」の停車駅であり、東京からのアクセスではメインルートになるが、中心市街地に行くにはバスを使うことになる。
東武鉄道広報部は「延伸を果たした頃は、観光地としての赤城地区への期待が大きかったようです」と説明する。1964年発行の『東武鉄道六十五年史』には早くから赤城山の観光開発を考えていたという記述がある。現在は廃止されてしまったが、たしかに1950年代以降、グループ会社の赤城登山鉄道の手で、ケーブルカーやロープウェイ、リフトの運営を行っていた。
桐生線は当初の軽便鉄道の計画では起点の太田駅と、JR両毛線で桐生駅の西隣となる岩宿駅を結ぶ路線だったが、相老駅まで開通した時点で当時の国有鉄道に接続できるようになったことから、そちらを選んだという経緯のようだ。
六十五年史には「未成区間の笠懸村・岩宿停車場間は、既成区間が足尾鉄道線と相老停車場において接続できることになり、 したがって同線を介して官線との連絡が可能となったため不要」になったとある。
乗換駅は相老駅と赤城駅
桐生線を名乗りながら、なぜ中心市街地から離れているのか。桐生線は太田駅を出ると、途中までは岩宿駅に向かうように進むが、その後S字カーブを描いて新桐生駅を経由し、相老駅に至る。このルートの背景には、前述の計画が関与していたのかもしれない。
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