和田秀樹が教える「60歳から頭がよくなるコツ」 話が上手な人とそうでもない人の決定的な差
東洋経済オンライン / 2024年10月25日 7時20分
高齢者専門の精神科医である和田秀樹さんは著書『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』で、いくつになっても脳の働きを活性化させ、賢くなり続けられるのだと語っています。一生、最高の自分を更新し続けたい人に役立つ同書から一部抜粋・再構成してお届けします。
言語化力とは、難しい事柄をわかりやすく表現する力
頭がよい人の一つの要素として、話が上手だったり、話し方が魅力的であったり、といったものがあると思います。日本人はどちらかというと、ペーパーテストの点数がよかったり、読書家で豊富な知識を持っていたり、そういった人を頭がよいととらえる傾向がありますよね。けれど、多くの人に注目されたり、人を惹きつけたりするような人は、やっぱり言語化力に優れているのだと思うのです。
池上彰さんにしても、膨大な知識の量はさることながら、その知識をわかりやすく言語化する力が突出しているから、これだけ活躍し続けておられるのでしょう。私が思う言語化力とは、「わかりづらいことをわかりやすく表現する力」です。多くの人がなんとなく、難しい言葉をたくさん使える人を賢い人だと思いがちですよね。けれど、難しいことをわかりやすく話すことのほうが実はテクニックがいるもので、かつ必要とされることなのだと思います。
日本では一般書を書く人より、小難しい論文を書く人のほうが、どちらかというと権威があるようにとらえられています。一方アメリカなどでは、一般書を書いている人のほうが高い評価を得ていますし、また大学の教諭なども、「ティーチングスキル」といって、わかりやすい講義をする人が評価されているのです。
私自身の話をすると、日頃、医師としてさまざまな患者さんに接するなかで、医者は、説明が下手であると成り立たない職業だなとつくづく感じます。入り組んだ話、複雑な話も発生するなかで、それらをわかりやすく説明するのももちろんのこと、さまざまな知的レベルの方が来てくださいますから、一人ひとりに合った説明をすることが求められるわけです。そういったなかで、少しでも相手が理解しやすく話ができるよう、普段から心がけています。
難しい単語や概念を誇らしげに振りかざすのではなく、相手の理解度を丁寧に踏まえながら、わかりやすく話す。そういった高齢者こそ、品性と知性を感じさせるのではないでしょうか。
養老先生が、人間には「バカの壁」があるとおっしゃっていました。これは、話が通じないのは相手がバカだからなのではなく、人それぞれで認知の仕方が違うため、会話をした際、こちらの意図した通りには伝わらないことがあるのは仕方がないということです。そのことを前提としつつも、相手に理解してもらうための最適解を模索するということが大切なのだと思います。
話が上手な人の定義は、「まとめる力」があるかどうか
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