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飲食店で「露出テロ」迷惑客の投稿変遷に見る危機 公共の場で下着を出す、悪質客に企業ができる対策

東洋経済オンライン / 2024年10月25日 19時5分

加えて、被害の矛先が「他の客」に向けられている点も大きい。もちろん店舗にも影響はあるのだが、リスクを直接負うことになるのは、飲食をする客のほうだ。女性たちを擁護するわけではないが、今回話題になっている露出は、死角で行われれば気づかれない。なお当然ながら、他の被害者として、「タイムラインに流れてきて不快感を覚えたSNSユーザー」がいることを忘れてはならない。

そして、一番の違いが「迷惑行為を行う動機」だ。前回の客テロブームは、いずれも「仲間内の悪ふざけ」の延長線にあった。10年ほど前の「バカッター」「バイトテロ」から続く、SNS炎上の王道とも言えるスタイルだ。

しかし、露出はそうではない。アピールする相手が「身内」ではなく「第三者」に設定され、いかに興味関心を引けるかに、力点が置かれているように感じられる。そこには、「エロで釣って、その影響力を利用したい」という野心が見え隠れする。

このように考察してみると、一連の露出テロはアテンション・エコノミー(関心経済)の観点から論じたほうがいいように思える。動画で言えば「迷惑系YouTuber」のように、過激なコンテンツで注目を集め、それを元手に商売につなげる素地になっているのではないか。

そう考えると、以前の客テロには、まだ世間知らずゆえの無邪気さがあったように思える(とはいえ許されるものではない)。今回の露出テロは、企業に与える「実害」としては少ないかもしれないが、こういった形でニュースになることを望む企業は存在しないだろう。

そう考えると、今回の「露出テロ」は、悪い意味で迷惑行為を次のステージへ進めてしまったとも言えそうだ。

迅速かつ適切な対応が求められる

これ以上エスカレートしないために、早期に取れる術はなんだろうか。

衛生面であれば、回転寿司チェーンで「ガリ」を個包装にするなどの対応を取れるが、撮影への対応だと簡単にはいかない。しかしながら、店内撮影を一律禁止としてしまえば、「チェーン店なのにハードルが高い」と思わせてしまいかねない。ドレスコードの設定も同様に、一般的な外食チェーンでは非現実的だ。

飲食店を襲う露出テロの脅威を前に、おそらくルール設定や、業務フローの改善では対処しづらいだろう。見せしめなどによって、いかに「撮りづらい雰囲気」を醸成できるかに、今後の行方は左右されるように思える。

まずは今回の現場となった各店舗が、厳然とした対応で、見解を出すことが第一歩になると考えられる。声を上げることは、手間もかかる上に、「客を選んでいるように感じさせるのでは」とブランドイメージから避けたい場合もあるだろう。

しかし黙り続けることで、一般消費者からは「黙認するのか」と非難され、迷惑客や模倣犯にも「この店は甘い」と隙を与えることになるのではないか。その点において、三田製麺所の反応はスピーディーだった。

「公共の場で下着を出す行為に、模倣犯もいないだろう」と思う人もいるかもしれないが、公共の場で露出する人の心理や行動を、企業側が予想するのは困難だ。場合によっては、業界団体が代弁してもいい。迅速かつ適切な対応ができるか否かが、今後の試金石になるだろう。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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