「医師で作家」が精神崩壊寸前で気づいた"幸せ" 「勝ちまくった人はいずれ精神に変調をきたす」
東洋経済オンライン / 2024年10月26日 17時0分
ベストセラー作家としてシリーズ57万部突破。高給とりの医者という職につき、外科医として高い技術を誇る。そう聞くとどんな成功者を想像するだろうか? しかし『泣くな研修医』『俺たちは神じゃない』シリーズが軒並みヒットする中山祐次郎氏は「成功は人を幸せにしない」と断言する。44年の半生を振り返り「幸せ」に生きるヒントを息子に伝えた新刊『医者の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵』より一部引用、再編集して紹介する。
2回の浪人で医学部に滑り込む
僕は試験強者ではなかった。中学受験こそ神奈川県ナンバーワンの聖光学院にギリギリ補欠で合格したけど、たぶん優秀な兄が2学年上にいたことが大きかったと思う。中高時代は、中山は目立つけどなにせ頭が悪いからな、と言われていた。大学受験では2年の浪人で医学部に5回も落ち、第一志望だった千葉大医学部にも落ちた。
大学時代の試験も留年こそしなかったがかなり苦戦をし、よく再試験を受けさせられたものだ。小学校、中学校、高校、そして大学受験までは個人競技だ。自分の暗記力だけがものを言う。僕はこれが苦手でしょうがなかった。人の倍の時間をかけなければ、人と同じだけの暗記ができなかった。
自分の頭脳がその程度だと気づいたのは高校生の頃。聖光学院は進学校で、一緒に勉強していたやつらの何人かは現役で東大に行った。そんな男たちと比べるから、余計に自分の出来の悪さがきつかった。なんで「調べる力」とか「いろんな人と友達になる能力」、「みんなで作る能力」などがテスト項目にないんだろうと不思議に思った。が、そう決まってしまっているのだから仕方がない。
共通試験(僕らのころはセンター試験と呼んだ)で70%程度しか得点できずに浪人してしまい、「90%以上の点を取らなければ医学部には入れない、つまり医者になれない」という現実を突きつけられた。
18歳のその春の日、僕は腹をくくった。
やるしかない。医者を諦めないのであれば、この頼りない頭脳でいくしかない。人の倍の時間が必要なら、倍の時間をかけて勉強するしかない。
僕は、その日から、とにかく長い時間を勉強に費やした。電車ではもちろん、歩きながら、トイレで、風呂で、食事をしながらずっと勉強をした。それでも医学部に入るのに2年も余計にかかった。
パニック、泣き出し、吐く人も続出の国家試験
でも、大学に入ってからの勉強は楽しかった。何度、夢に見たかわからない、その字を書くだけで心拍数が上がる医学というものを、学べるのだ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
わが子の自己肯定感が下がり、勉強嫌いになるだけ…和田秀樹が「9割の子は行ってはいけない」と説く場所
プレジデントオンライン / 2024年11月19日 17時15分
-
若返りホルモンが分泌され、前頭葉がメキメキ元気に…和田秀樹が「逃げずに取り組むべき」と説く"健康習慣"
プレジデントオンライン / 2024年11月18日 17時15分
-
「6浪で医学部合格」秀才だった彼女の選択の過ち【再配信】 受験科目の選択ミスが人生を大きく左右した
東洋経済オンライン / 2024年11月18日 14時0分
-
医局に入らないことを決めた医師の"その後" 辞める前に知っておくべき「リスクとリターン」
東洋経済オンライン / 2024年11月1日 16時0分
-
「4浪建築学科合格」でも、彼が語る"努力の虚しさ" 学校でのいじめや親との関係で悩んだ日々
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 7時10分
ランキング
-
1相鉄かしわ台駅、地元民は知っている「2つの顔」 東口はホームから300m以上ある通路の先に駅舎
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 6時30分
-
2ジャパネット2代目に聞く「地方企業の生きる道」 通販に次ぐ柱としてスポーツ・地域創生に注力
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時0分
-
3日本史の偉人「意外と二面性ある」驚きのトップ3 戦国時代や幕末の偉人も、どんな二面性?
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 9時20分
-
4クシュタールの会長「セブン&アイとの統合で小売業のチャンピオンに」…敵対的買収は「考えていない」
読売新聞 / 2024年11月22日 9時5分
-
5「ドラクエIII」最新リメイク、世代と国境の壁に挑む 「おじさんのRPG」を超えられるか
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 13時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください