日米の世論調査はいったいどこまで正しいのか 「10.27衆院選」「11.5大統領選」をリアルに読む
東洋経済オンライン / 2024年10月26日 8時30分
これでは正確な回答が得られないのも無理はない。側聞するところによると、今回の期日前投票の出口調査においては、投票した人にタブレット端末を渡し、報道側は「私は見ていませんから、記入をお願いします」というスタイルが採られているらしい。これも正確なデータを得るための健気な努力と言えるだろう。もっともその結果、2024年選挙における世論調査が当たるかどうかは、「とにかくやってみなければわからない」のである。
3年前はテレビ局だけでなく、新聞社の「情勢調査」も軒並み総外れであった。事前に読売新聞は「過半数(233)の維持が微妙」と書き、産経新聞は「218~246議席」と書いていた。ところが結果は261議席である。朝日新聞だけは「251~279」といい線をいっていた。さて、いったいどこで差がついたのだろうか。
世論調査においては、これまでRDD方式が主流であった。受話器を取ると、自動音声で「あなたはどの党に投票しますか?」と問いが流れてくるというあの方式だ。「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略で、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、機械的に電話をかけていく。
電話帳に番号を掲載していない人にもアクセスできる、という強みがあり、これで固定電話と携帯電話にかけまくると、それなりに信頼性のあるデータが得られるという前提になっている。
なぜ朝日新聞は「ニアピン賞」をとれたのか?
しかるに3年前はそれで大外れとなった。そんな中で朝日新聞が「ニアピン賞」になったのは、「小選挙区の予測はネット調査に絞る」という勇気ある決断を下したからだろう。いわば世論調査における技術革新だ。今の有権者は、電話の向こうにいる「誰だかわからない人」に対して、容易に心を開いてはくれない。むしろ協力してくれそうな人を見つけたら、ショートメールなどで尋ねるほうがホンネを語ってくれるらしいのだ。
例えば、昨今の電車の中の風景を思い出してみてほしい。隣り合った者同士が挨拶をするとか、なにげない会話を交わすといった風習はすでに失われて久しい。皆が無言でケータイの画面を睨んでいて、その向こう側にいるのは得てしてLINEやFacebookなどでつながっている「友人、知人たち」である。
知っている人とは会話するけど、誰だか知らない人とはお話ししたくないのだ。最近、オフィスでよく問題になる「若い社員が電話を取ろうとしない」現象も、「誰だかわからない人と会話する」習慣がないからだと考えればわかりやすい。
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