競合ひしめく「XRデバイス」に挑戦するパナの勝算 アップル、Metaが"目指さない"産業特化型で参入
東洋経済オンライン / 2024年10月27日 7時20分
アップルやMetaが狙う“将来の何でもできる汎用デバイス”ではなく、特定用途に特化させることでApple Vision Proを超える画質と185gの軽量化を実現し、狭い領域ではあるが“ナンバーワン”の製品に磨き上げることで想定する領域では局所的には勝ち切れる。
パナソニックは産業領域、コンシューマーではShiftallが、それぞれの領域で存在感を出せば次の世代へと繋いでいけるという考えだ。
“普及への道のりは険しい”からこそ
実際に装着してみると、その快適性はほかのライバルとは比べものにならないほど優れている。本体が軽量でコンパクトであるため、まるで手術用のマイクロスコープのように額に巻いたヘッドバンドにぶら下げ周囲を確認しながら利用できる。
Apple Vision ProやMeta Quest 3には、周囲の状況をカメラで捉え、空間をVRディスプレイ内で再現するMR機能があるが、複雑で重いシステムになる。本機ではもっとシンプルな解決策を採用し、ワンタッチでフリップアップさせることで周囲の確認とVR視野の切り替えを可能にしている。
将来的な発展性としてMRのほうが進化の余地があるものの、“現在の技術的な制約”の中では現実的な選択肢だ。
競合製品としては、Bigscreen Beyondという127gの製品(解像度は5.2K)が挙げられるが、より軽量なこの製品よりも本機は圧迫感を感じない。なぜなら額に固定するため、長時間での圧迫が少ないためだ。
表示品質も5.2KのBigscreen Beyondに比べると明白な違いがある。
また、業務用途で多くの人が1つのデバイスを使うことも考慮し、視力補正は専用の補正レンズを用いる方法のほか、レンズとディスプレイデバイスの距離を調整することで簡易的な視度補正も用意されている。
Shiftallとパナソニックの最初の共同開発製品だった初代Megane Xでは、ややチグハグな面も感じられたが、MeganeX superlight 8Kでは“特定の得意な領域”を絞り込み、商品企画とハードウェア開発においてフォーカスが定まっている印象だ。
XR表示デバイスの普及にはさまざまなハードルがあるが、その中でも“手軽な装着性”と“長時間利用における疲れ軽減”は、最も大きなハードルだ。この点を乗り越えることで、用途の幅は狭くとも選んでもらえる製品を作っている。普及への道のりが険しいからこそ、“何にでも使える”ことを目指し王道を行こうとするAppleやMetaにはできない製品としたのだ。
“目指すのはレッツノートやタフブック”
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