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NECの映像を"読む"AIは世界を変えるか 事故査定から空港運営まで、映像データを自動で分析・レポート化する世界初の技術

東洋経済オンライン / 2024年10月28日 9時20分

「映像認識×生成AIによる報告書作成業務の変革」としてCEATEC AWARD 2024 25周年特別賞を受賞(筆者撮影)

NECが開発した生成AIによる映像解析システムが、ビジネスの現場に新たな可能性をもたらそうとしている。2023年に世界初の技術として発表されたこのシステムは長時間の映像を分析し、その内容を自然言語で要約・レポート化する能力を持つ。

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状況に応じ柔軟にアドバイス

本システムの最大の特徴は、1日や1週間単位の長時間映像を分析できる点だ。従来のAI技術では困難だった長時間の映像処理を可能にし、複数のカメラからの入力を統合して分析することもできる。

NECの担当者は「従来の画像認識AI技術により映像認識結果を中間構造にまとめ、大規模言語モデル(LLM)で読み取る方式を採用しました」と技術的特徴を説明する。さらに、NECが独自に開発した小型GPUでも動作可能なLLM「cotomi(コトミ)」を使用しているため、ハードウェア要件を抑えつつ高度な処理が可能だという。

具体的な動作を交通事故の分析例で見てみよう。システムは2024年9月5日21時46分に発生した事故のドライブレコーダー映像を分析している。画面左側には交差点での交通状況を捉えた映像が表示され、右側には事故の詳細な分析結果が記載されている。

システムは映像から「信号機のある交差点において、両方向から進入した車両が衝突した」という事故状況を認識し、さらに過失割合の判定まで行っている。この事例では、直進車両の過失が20%、右折車両の過失が80%と判定された。システムはこの判定理由も説明しており、「信号機のある交差点では通常、直進車が優先されるため」と記している。

システムは状況によって過失割合が変動する可能性があることも指摘し、例えば「直進車がスピード超過や一時不停止等の違反行為をしていた場合、過失割合が加算される可能性がある」という。AIが単純な規則の判断だけでなく、状況に応じたアドバイスも柔軟に行えるというのだ。

リアルタイムの状況把握と異常検知

このような詳細な分析と説明は、保険会社の査定担当者や法執行機関にとって非常に有用なツールとなり得る。人間の専門家が行う分析をサポートし、判断の一貫性や効率性を高めることが期待される。

もう1つの注目すべき応用例が、空港のグランドハンドリングの最適化だ。2024年10月7日14時48分39秒、ある空港の駐機場エリア701で撮影された映像をシステムが分析している様子を見てみよう。画面には空港の駐機場エリアの写真が表示され、航空機や作業車両が色付きの枠で囲まれており、システムがこれらの要素を個別に認識していることがわかる。

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