NECの映像を"読む"AIは世界を変えるか 事故査定から空港運営まで、映像データを自動で分析・レポート化する世界初の技術
東洋経済オンライン / 2024年10月28日 9時20分
システムは映像から航空機の整備状況、搭乗橋の接続状態、手荷物の積み込み作業の進捗、地上車両の動き、給油作業の進行状況などを認識し、テキストで報告している。例えば「エリア0では、航空機の整備作業が示されています。搭乗橋は航空機に接続されており、現在搭乗や降機が行われていることを示しています」といった具合に、各エリアの状況を詳細に記述する。さらに、システムは通常の作業フローから外れた事象があれば、それを自動的に検出して報告する機能も備えている。AI認識の誤りへの対策も講じられている。人間によるチェックと修正機能を実装し、ユーザーインターフェースの改善により誤認識の簡単な修正を可能にしているという。
このリアルタイムの状況把握と異常検知により、空港運営の効率化や安全性の向上に大きく貢献することが期待される。NECの担当者は「このシステムにより、空港運用の可視化と最適化が同時に実現します。人手不足が課題となっている航空業界において、効率的な運用を支援する重要なツールになると考えています」と語る。
このシステムの応用範囲は上記の例にとどまらない。ドライバーの安全運転評価、スポーツイベントのリアルタイム要約、さらには医療分野でのCT・MRI画像の分析と報告書作成への応用可能性も示唆されている。
映像データの活用が進む現代社会において、このシステムは膨大な映像情報を効率的に処理し、有用な知見を抽出する強力なツールとなり得るだろう。NECはこのシステムの実用化に向けて、約7社の企業と実証実験を進めている。「2024年度中または2025年度の製品化を目指しています」と担当者は意気込む。
石井 徹:モバイル・ITライター
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