北朝鮮より中国が鎖国?中国が国境を閉ざす理由 2024年中朝友好年も何もしないまま終了か
東洋経済オンライン / 2024年10月28日 8時20分
そのため、旅行業界では、北朝鮮ツアーの再開に備えようとしていた。同時に、中朝友好年の象徴的なイベントとして、記念日である10月6日に国境全面開放を宣言するのでは、との情報も流れた。
ところが、この話さえも実現することなく消滅したことが確認された。何があったのか。
その理由の1つとして、中国政府が中国人の海外渡航の規制を強め、いわば鎖国を強化している動きにあるのではないかというものだ。
「国慶節(中国の建国記念日)連休直前の9月下旬になって、中国政府から『国慶節の海外渡航に注意せよ』という呼びかけが出されて、予約の多くがキャンセルになった」(山東省の旅行業者)
別の旅行業者へ話を聞いても、訪日ツアーの3、4割がキャンセルとなったという。他国向けも同様な傾向のようだ。
上記のような中国政府の通達は、「海外渡航すると不利益があるかもよ」という脅しに等しく、空気を敏感に読んだ中国人は、自分や家族への不利益を恐れてキャンセルした可能性が高いという。
訪日中国人が当初予約の6、7割にとどまったとはいえ、2023年比では大幅増となったため、「訪日中国人が大幅増」と報じたメディアもあった。
2023年は、福島第一原発からの冷却水の処理水放出で、これを政治利用した反日キャンペーンを大々的に行い日本を訪れる中国人を大幅に減らすことに成功したが、1年が経過してその効果も薄れてきていた。
日本人児童殺害事件も中国が利用?
9月下旬に中国政府が海外渡航自粛を呼びかけたと聞いて、ピンとくる読者もいるのではないか。9月18日に中国・深圳で日本人児童が殺害されるという痛ましい事件があったタイミングなのだ。
中国政府は、日本人児童殺害事件も国内統治のために政治利用したとも考察できる。
中国関係筋は「中国人は海外へ行って消費するのではなく、国内で消費せよということだろう。たとえそれが北朝鮮であっても、中国人に行ってほしくないという中国政府の意思を感じます。中朝国境の開放、正常化の優先度は大きく下がったのではないか」
これも実現しなかったが、2024年9月6日付の『朝日新聞』は、本来は10年前に完成する予定だったが、現在は無期限開通延期となっている新鴨緑江大橋が、中朝国交樹立日である10月6日に開通するという話が丹東で聞こえていると報道した。
この橋は中国・丹東と北朝鮮の新義州を結ぶもの。「10月にも正式に開通か」という話は、筆者も春先から丹東にいる関係者から聞いていた。しかし、鴨緑江で洪水が発生し、北朝鮮側にも甚大な被害を出した7月以降、そんな話はまったく聞こえなくなっていた。
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