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首位から5位へ凋落した「ワーゲン」反撃への狼煙 EVシフトの旗手…ではなかったしたたかな姿

東洋経済オンライン / 2024年10月29日 11時30分

同年11月には、「今後10年間の戦略」として「TRANSFORM 2025+」を発表。「数十億ユーロの投資を行い、e-モビリティの分野でマーケットリーダーになる」「2025年までに年間100万台の電気自動車を販売する」とぶちあげた。

2010年代後半にヨーロッパのモーターショー取材をしていた筆者としては、ほんの数年前まで、「環境対策はディーゼルエンジンだ」と主張していたフォルクスワーゲンが、見事なまでの君子豹変を見せたことに驚いたものだ。

ちなみに君子豹変という言葉は、悪口のように使われることも多いが、本来は「君子のように優れた人は、過ちを改め、速やかに方針を変える」という意味である。

こうしたフォルクスワーゲンの方針変更は、世界中に大きな影響を与え、2020年代前半からの「EVシフト」という大きな潮流を生み出した。その結果、「EVムーブメントの旗手がフォルクスワーゲンである」というイメージが決定づけられたのだ。

電動化の旗手でありながら主力は…

電動化に大きく舵を切ったフォルクスワーゲンではあったが、実際のところ売り物となるEVの市場導入には時間がかかる。ヨーロッパ市場でEVの「ID.3」が発売されたのは2020年になってのことだった。

また、ID.3はヨーロッパ市場向けであったため、日本への導入はグローバルモデルとなる「ID.4」を待つこととなった。その発売は2022年である。

つまり、ディーゼルゲート不正発覚の2015年から7年もかかっていることになる。また、2022年にID.4が発売されたとはいえ、日本におけるEV販売比率は、フォルクスワーゲン車全体の5%程度であったという。

販売の主力は、エンジン車の「ゴルフ」であり、「ポロ」「T-Roc」、そしてT-Cross。つまり、ID.4導入以前から現在に至るまで、日本での販売の主力は、常にエンジン車であったのだ。

EVの旗手のように見えるフォルクスワーゲンだが、それは完全なイメージ先行で現実はそうではない。

筆者は、このギャップに近年の日本市場不振の理由があると考えている。電動車のイメージが先行しすぎて、販売の主力となるエンジン車の存在感が弱くなっていたのではないか。

フォルクスワーゲンのエンジン車の魅力は、今なお健在だ。2024年7月にマイナーチェンジを受けたT-Crossを試乗して、その良さを再確認した。

T-Crossのマイナーチェンジは、デザインの変更と装備の充実が主な内容。搭載されるエンジンは、3気筒1.0リッターガソリンターボで、パワーは85kW(116PS)しかない。シャシーも5年前のデビューのままだ。

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